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第1174話

御膳が下げられると次に水菓子が運ばれて来た。 綺麗に平らげたと言っても人よりよく食べる恋人は、それにも嬉しそうな顔を見せる。 「遥登、ちょっと隣来てもらって良いか。」 「はい?」 手招くと素直に隣にやって来た恋人の腕を引いて膝の上に引き上げた。 袷から真っ白な太股が覗く。 見えそうで見えない下着。 チラリズムは欲を掻き立てる。 「食わせて。」 「え…、それは構いませんが、あの…膝の上じゃなくても…、」 「嫌か?」 頬をするりと撫でれば可愛い恋人の目がとろんとする。 我ながら狡い聞き方だとは思うが、その様子は愛される事を知っている犬や猫の様に素直で見ているだけでも気持ちが良いのが解る。 そんな顔をしてもじもじする三条に駄目押しをした。 「遥登で食いてぇな。」 「…また、そんな事言って。」 「苺、美味そうだな。」 三条は視線を後ろの皿にやるとこくんと生唾を飲み込んだ。 艶やかで美味そう。 苺を口に銜えるときゅっと目を閉じて近付いてくる。 目を瞑っている三条は距離感覚が掴めず苺の先を長岡の唇にぶつけ、その衝撃に思わず目をあけてしまった。 その瞬間、目の前の綺麗な顔がやわらかく破顔し、苺に噛み付かれた。 「っ…、」 「甘ぇ。 すげぇ美味い。」 本当に捕食されるかと思ったのか三条は心臓がドッドッと騒ぐ。

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