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第1175話

無意識の内に膝を長岡の胴体に擦り付ける辺り、三条もその気がない訳ではなさそうだ。 だけど、羞恥心の高い三条のスイッチを入れるにはまだ時間がかかる。 と、言ってもまだ宵の口だ。 「遥登は良い子だな。 えも言われねぇ。」 ぽわっと頬を染めた恋人の可愛い事ったらありゃしない。 つい猫可愛がりしてしまう。 すりすりと頬を撫でるとなんとも言えない顔をする。 「次は、俺の番。」 もう1つを口に銜えると、ん、と差し出す。 ほら食えよ、とばかりに苺の先で唇をつつくと恋人は色っぽく視線を流した。 「…いただき、ます。」 噛み付くと果汁が垂れる。 慌てて布巾に手を伸ばす手を遮ぎり、恋人の名前を呼ぶ自分はどんな顔をしているだろう。 「遥登。」 「…っ、……し、失礼します」 ペロ…ッ 1度顔を離して、今度は唇を舐めた。 可愛らしい誘い方は自分好みのものだ 三条らしくてたまらない。 外デートの最中出来なかった分だけ沢山キスをした。 何度も深さを変えて、角度を変えて、沢山。 そりゃもう沢山。

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