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第1176話
長岡は寝室に入るとごろんと畳に寝転がる。
フローリングとは違い、畳はやわらかく腰や肩を支える。
「和室で寝るなんて久し振りだ。
おー、畳のにおい。
実家はもう畳のにおいなんかしねぇからな。」
ベッドタイプの部屋もあったが、折角の機会だと和布団の方を選択した。
青々しく清々しいい草のにおい。
修学旅行先もホテルで、畳のにおいは久し振りだ。
「後は自分達でやるって伝えてあるからもう大丈夫だ。
沢山くっついてような。」
こくんと頷く三条の背中に尻尾が見える。
ぶんぶんと大きく振り、嬉しい気持ちを隠しきれていない。
おいで、と隣を叩くとゆっくりと近付いてきた。
その手をとっては自分の胸に抱き寄せると、尻尾は更に大きく揺れた。
従順な犬の様なその姿は何時見ても自分をしあわせにしてくれる。
「ふとん、くっ付けて敷こうな。」
こっくんと丸い頭が上下した。
どういう意味か位解ってるとは思うが、口に出して指摘したら離れてしまうかも知れない。
だから、口には出さない。
さらさらとした髪の手触りを楽しみながらほんの少し目を閉じた。
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