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第1179話
折角綺麗にシーツを敷いたのにぐしゃぐしゃになっていく。
折角綺麗に敷けたのに勿体ないなんて思えたのは最初だけで、次第に思考は長岡でいっぱいになっていった。
好きで好きでたまらない。
唇が触れるだけで気持ちが良い。
そんな快感に酔っていると下着を取り払われてしまう。
「あっ」
「あーあ、ノーパンになっちまったな。」
長岡が持ってきてくれた部屋に置いてあった私服のパンツが目の前に晒される。
脱ぎたてのそんなものをヒラヒラとさせなくても。
急に今の服装が心許なく思えてきた。
洋服とは違い布を身体に巻き付けるシンプルな構成も、その布を押さえ付けるのがたった1本の帯なのも不安になってくる。
「旅館のふとん、汚したら…」
「あぁ、そうだな。
汚さない様に俺も気を付けるから遥登も頑張れ。」
ちゅ、ちゅ、と顔中に降ってくるキスと身体をまさぐる大きくて冷たい手にこの身体は抵抗出来ない。
だからと言って旅館のふとんを汚す訳にもいかない。
次にこの部屋に宿泊する人も使うのに。
それだけは避けなくてはいけない。
なのに、気持ち良くて我慢なんて出来そうにもない。
なんて弱い理性なんだろう。
「それ、は、生理現しょ…」
「んじゃ、タオル敷くか。」
耳へとキスの合間に囁くように吹き込まれた言葉に頷くと、長岡は三条の下着を畳に放り隣の部屋に消えていった。
はだけた袂を直し、半身を起こすと身頃を太股で挟む。
こんな抵抗すぐに吹き飛ばされるんだろうが、それでもしないよりは幾分かはマシだ。
衣装が違うだけでこんなに緊張すると思わなかった。
その内コスチュームプレイを要求されそうだ。
カチ…と隣の部屋の電気が消されると鞄を手に愛しい人が戻ってきた。
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