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第1187話
枕元に転がっているペットボトルに手を伸ばすと、三条に手渡す。
喉が渇いていたのかすぐに起き上がると喉仏を上下させた。
気だるげな姿に色気が混じっていて、改めて成長期の恐ろしさを思い知る。
色気もそうだが、随分と大人っぽくなった。
「美味しい。」
「ん。
ほら、軽く拭いてから風呂行くぞ。」
こくんと上下した頭にどうせ汚れているんだから気にする事なく下に敷いたタオルで三条の腹やけつを拭っていく。
上気した頬を更に赤くするが、されるがままだ。
「ん、こんなもんか。
ほら、浴衣。」
「ありがとうございます。」
三条はマーキングに塗れた身体を浴衣で隠した。
純真無垢、セックスなんて知りません、という顔をして、本当はクラスの誰よりもアブノーマルな行為を繰り返している。
そのギャップが、加虐心を焚き付けていった。
あの蕩けるような淫靡な顔を見られるのも、甘い声を聴けるのも、自分だけだ。
気持ちの良い体内を知っているのも自分しかいない。
優越感。
征服感。
この身を満たすのはどちらでもない。
スマホをそっと手に取ると、静かにカメラを起動させその姿を切り取る。
ワンテンポ遅れてシャッター音が耳に届いた。
「え、なに撮ってるんですか…。」
「んー、遥登。」
慌てる遥登が可愛くて腕を引いて抱き寄せる。
細くてあたたかくて、清潔なにおい。
サラサラと胸元を擽る髪の毛。
「ほら、風呂行くぞ。」
「正宗さんも浴衣着てください。
風邪ひきますよ。」
自分を満たしてくれるのは、遥登という存在だ。
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