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第1195話
「遥登、ちょっと待ってられるか。」
「?
はい。」
三条の頬を撫でると本棚に向かい長岡は背中を向けた。
スーツとは違いゆるっとした部屋着だがスタイルの良さがしっかりと分かる。
自分の事ばかり細いと言うが長岡自身も身体が薄く、だけどしっかりと筋肉が付いていて貧相には見えない。
本当に羨ましい。
何か手に持った恋人はそのままさっきまで座っていたラグの上に腰をおろすと、また口を塞いだ。
だけどさっきのキスとは違う。
「ん…、チョコ…?」
「うまい?」
「ボンボンですか。
アルコールの味がします。」
口移しで運ばれたのはボンボンチョコレート。
2人の口で溶かされたそれを飲み込むと独特の味が口に広がった。
「日本酒のだってよ。
まだあるけど…食う?」
「ぁ…」
顎を掬われ薄く開いた口から物欲しそうな声が漏れてしまった。
笑う長岡に頬が熱くなる。
「ほら、口開けて」
「ん、…」
「これウィスキーか。
上手いな。
ん?」
「おいし、」
ぽわっと上気した頬に長岡は満足げに笑う。
綺麗な顔がいやらしく歪む様に三条は顔が熱くなった。
男くさく色っぽい。
捕食されたいと思ってしまう様な、そんな余裕たっぷりの笑み。
「ほら、次。」
「ン…ぅ」
3こ目がコロンと口に入ってくると思わず押し返してしまった。
無意識の行動に頬が熱くなる。
長岡が笑った気配がしたが恥ずかし過ぎて目を開けられない。
そんなやりとりをしてるとチョコレートはとろりと崩れる。
「なんだ。
なんか酸っぱいな。」
「梅酒…?
おいし、」
甘酸っぱいフルーティーな味とビターなチョコの甘さが口いっぱいに広がった。
「気に入った?
もう1つあるけど、どうする。」
「…ください」
「ん、口開けて。」
すぐにまたチョコレートが運ばれてくる。
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