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第1202話

正門横の梅の木は疎らに花を咲かせ、甘いにおいで祝福をする。 何時もより遅い時間に田上と駅で合流し、下駄箱前で靴を履き替えているとポケットの中が震えた。 A組のグループから次々とメッセージが入る。 「教室? 早く来いって、なんだ?」 「さぁ?」 田上も不思議そうに首を傾げた。 大体まだ式典には早い。 記念の写真撮影? それなら反対方向の電車組はまだ時間がかかる。 スタスタと階段を登っている最中にもメッセージが届く。 なんで?や、なに?にはネタバレ厳禁と返ってくるばかり。 なんとももどかしい答えだ。 「おはよー」 「おはよう…」 後戸を開け、目の前に広がる光景に三条は目を大きく見開いた。 後ろに続く田上も同じ。 桜だ。 桜。 黒板いっぱいに描かれた夢見草と、ご卒業おめでとうございますのメッセージ。 北国の春はもうすぐそこまで来てるが、まだ桜の花には遠い。 なのに、この教室にはこんな沢山の花が咲き乱れている。 「お、三条、田上、おはー。」 「綺麗だよね。 これ先生が描いてくれたのかな。」 「えー、意外。 でも、嬉しい。」 「この前で写真撮ろう。」 一足早い花にみんな笑みが溢れていた。 「綺麗だな。」 「あぁ、綺麗だな。」 あたたかな教室内に入るとにおいまでする様だ。

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