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第1205話

黒板の花はすぐに広まり、他クラスからも見物人がやって来た。 その人集りを散らしたのはD組担任の社会科教師。 続いて淑やかな着物を着たB組、C組、そしてダブルボタンのE組担任が各クラスへ声をかけていく。 そして、最後に三つ揃えを着用した長岡が教室にやって来た。 「おはようございます。 席に戻ってください。」 「先生、その黒板先生が描いてくれたの?」 「長岡ホストみてぇ。 やべぇな。 写メらして!」 入室するなり黒板だホストだと何時もと変わらず騒がしい教室内に、長岡は息を吐いた。 晴れの日位お利口に出来ないのか。 …だけど、黒板の桜は喜んで貰えた様だ。 「これは先生の一張羅です。 似合いませんか。」 「似合ってる!」 「先生、格好良いよー。」 流行りのケツが丸出しの丈の短いものでもない。 クラシックで落ち着いた物。 A組を送り出すのに恥ずかしくない格好をしてきたつもりだが、なんせ生徒を送り出すのはこれがはじめてだ。 おかしくないのなら良かった。 と、飛び出た頭を見れば笑いを堪えているような顔をしている。 良い顔だが後で詳しく話を聞かせてもらおう。 「欠席、遅刻の連絡はありませんが出席とりますよ。 名前呼ばれたら反応してください。 それから胸に付ける花も配ります。 ここに、こんな感じで着けてください。 それから、式典中は冷えますがカーディガンの着用は出来ません。 暖房焚いてるから多少はあったかいとは思いますが、ホッカイロ持ってる人は持つか貼るかして防寒してください。」 スカート丈や化粧、腰穿き等服装を直させつつ一人ひとりの顔を見ていった。 大人っぽくなったな。 随分と髪が伸びたな。 生徒達が成長した分、自分も成長出来ただろうか。

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