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第1211話

すべての証書を渡し終えると長岡は少しだけ話をさせてくれと切り出した。 「41名全員でこの日をむかえる事が出来て本当に良かったと思います。」 真っ直ぐ前を見ると、太陽光に照らされた埃がキラキラと舞っている。 天気にも恵まれて良かった。 日本晴れだ。 「1つだけ先生からお願いがあります。 矜持を持って生きてください。 なにか誇れるものが必ずあります。 それを大切にしてください。 矜持は折れません。 折れるプライドとは違い、竹の様に強く撓やかです。」 似て非なるもの。 プライドはへし折られるが、矜持は折れない。 決して穢れる事なく背中を押してくれる。 それを見付けられるかは個人次第だが、ないやつなんかいない。 「誰かに何を言われようと、そんな言葉に負けないでください。 もし、負けそうになったらこのクラスの友達、今日足を運んでくださったご両親、兄弟、それ以外でも心を許せる誰かに話して決して独りで抱えたりしないでください。 みんなは、先生の自慢の生徒です。 先生の言葉とその誰かの言葉、どちらを信じるかはみんな次第ですが、どうか思い出してください。」 社会に出ると色んな人がいる。 良い人も悪い人も、平気で人を傷付けたり差別をしたり、文句ばかりを垂れる奴もいる。 生まれもったものを否定し、笑いながら死ねと言うような非情な奴だってな。 そんな人と出会った時、辛くなった時、一瞬で良いんだ。 一瞬、このクラスの事を思い出してくれ。 修学旅行、楽しかったな。 体育祭、悔しかったな。  卒業式、どうだった? それを共有出来る友達がいるだろ。 俺は、出来た人間じゃない。 A組に嘘を吐いて、裏切って、自分のしあわせを手に入れた。 最低だよな。 「先生ははじめてクラスを受け持ったのが、A組で良かったです。」 だけどな、それ以外は嘘なんか吐いてないんだ。 一緒に過ごした3年、すげぇ楽しかった。 それに、嘘はねぇよ。

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