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第1232話
3月も半ばになり、季節は三寒四温を繰り返しながら春に近付いていく。
あったかかったり、さむかったり。
でも、着実に春は近付いていた。
隣家の梅は更に沢山の花を咲かせ、土手には蕗の薹が芽を出した。
学校から帰ってきた長岡の笑顔に満面の笑みを返す三条は、恋人が手洗いうがい、それから着替えを済ませるなり、はいっと綺麗にラッピングされた小さな箱を差し出す。
「正宗さん、これ、ホワイトデーのプレゼントです。」
「俺も、プレゼントです。
チョコすげぇ美味かった。」
長岡も寝室から小さな紙袋を持って来ると恋人に手渡した。
今年のバレンタインは長岡からもチョコを貰ったので、お返しは交換だ。
この笑顔がなによりのプレゼントなのだが、自分の事を考えて選んでくれた物を貰うのもとても嬉しい。
長岡からは去年同様飴玉の詰まった瓶。
蛍光灯の光でキラキラ光るそれを貰うのは3回目だ。
「ありがとうございます!
嬉しいです。
大切に食べますね。」
今回長岡へのお返しを考えていて、飴をお返しにプレゼントする意味をはじめて知った。
より、この飴玉が愛おしい。
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