1233 / 1273

第1233話

大切そうに瓶を抱いてにこにこする三条からのお返しはハンドクリーム。 「ハンドクリーム?」 「チョークで荒れてるの気になってたんです。 折角綺麗な指なのに勿体ないですよ。」 節の目立つ綺麗な指だが、その指先はチョークで荒れている。 特に利き手の親指、人指し指、中指はガサガサだ。 ずっと勿体ないと思っていて漸くハンドクリームをプレゼント出来た。 瓶を机に置くと、取り出したハンドクリームを一掬いし長岡の手を塗り付けていく。 ペンだこや切り傷の痕のある冷たくて大きな手。 そして、その手をマッサージする様に指の1本いっぽん、手の平や甲にまで塗り広げていった。 「そんなとこ見てたんだな。 あ、もしかして、けつん中弄る時痛かったりしたか?」 「違います…っ。」 爪も短く切り揃え、やすりかけまでしている長岡の指は体内を触れても痛むことはない。 長岡が当たり前にしていて気付かなかったが、爪でも引っ掻けたら簡単に出血するんだと。 自分で弄る時に痛んだ時は驚いた。 体内を触られているんだ。 よく考えれば解る筈なのに。 爪や指先のケアを怠れば受け入れる側の負担になる。 それを長岡は強姦紛いな事をしたあの日からずっとし続けてくれていた。 した事は許されない事だが、身体を気遣っていてくれたんだと歪んでいても愛情を知る。 照れを隠す様に、ぐいぐいと母指球を揉んでいると頭の天辺からリップ音が聴こえてきた。 「ありがとな。」 「………口、が良い…です、」 「じゃ、顔上げな。」 顔を上げると綺麗な顔が近付いてくる。 ぎゅっと目を瞑ると唇にやわらかなものが触れた。 この人の愛情に満ちたキスが大好きだ。 「俺がいる時は、俺が塗りますから…」 「ん、ありがとな。」 「……だから、もう1回キス…」 「もっとじゃなくて?」 「もっと……」 何度もキスをして、そういう雰囲気になっていく。

ともだちにシェアしよう!