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第1234話
「正宗さん、あの……俺、今日は帰るつもりで…」
「激しくしねぇよ。」
「ん、…」
首に回ってきた手が優しくうなじを撫でた。
あたたまった身体にはその手の冷たさが気持ち良い。
その手にもっと触れられたい。
もっと。
長岡が足りない。
長岡の髪が顔を擽る。
「違います……俺が、帰りたくなくなる…から……」
唇が離れた隙に言葉にすると長岡の目がギラギラした雄ものに変わった。
「……帰したくなくなる。」
誰に言うでもなく吐き出された本音に胸がきゅんとした。
「帰す。
きちんと帰す。
だけど、少しだけ」
きつく抱き締められ長岡のにおいでいむぱいになる。
しあわせで、嬉しくて、背中に手を回すと腕に力が籠った。
「ベッド……」
「ん、行こうか」
いまだ美しさを保つ薔薇の花の置かれた部屋と寝室とを隔てるドアがパタンと閉まった。
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