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第1235話

「長岡さん、美味しいですね。」 「えぇ、美味しいです。」 長岡の目の前には鰻重と胆吸い。 準備室の隣、進路指導室の長机をくっ付け国語科総出で昼飯を取るのは2度目だ。 1回目は赴任してすぐの歓迎会。 その後にも酒を交えてもしてもらったが、アルコールが飲めない人や夜に出掛けられない子供がいる家庭を考慮しての昼飯らしい。 そして、2度目は今日。 正確には毎年2回あるのだが赴任と離任で開催されているのだが。 「失礼な話なんですけど、長岡さんってもっとチャラチャラしてるかと思ってたんです。 でも、夏でもスーツ着てるしとっても真面目で驚きました。」 「私も。 今の若い子って感じなのかなって思ったら義理堅いと言うか。 真面目ですよね。」 女教師はそんな話で盛り上がる。 真面目と言うのは三条みたいな生徒の事だ。 自分の場合はただの猫被りで、模範的なことろは1つもない。 もしろ生徒に手を出した淫交教師だ。 言える訳もないそれを鰻と一緒に飲み込んだ。 タレの染み込んだ米を口に運びながらふと亀田の方を見ると、米の一粒一粒を噛み締める様に食べていた。 何を考えながら食べているのか。 もし、自分の考えてる事を思っていてくれたら嬉しい。

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