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第1237話

朝飯を食べ終わり、何の気なしに見た新聞に見慣れた名前を見付けた。 見慣れた、呼び慣れた名前だ。 三条は慌ててスマホに手を伸ばすとメッセージアプリを開いた。 正宗さん、離任するんだ… まさか長岡が離任なんて考えもしなかった。 言われてみれば、自分達を受け持って3年。 前年度もこの学校にいたんだから確実に4年はいる事になる。 ピコンとアプリがメッセージを受け取るとポコポコと言葉が続いていく。 『長岡、離任? マ?』 『離任式いける人でなにかする?』 『来週引っ越しでいけない…』 『俺も』 早々に県外へ引っ越しをしてしまうクラスメイトは惜しいと言うが、ただでさえ引っ越しで金がかかるのに戻ってくるにも金がかかる。 残念だが会う事は出来ないと断念した。 三条はじっと見慣れた名前を見て考える。 やけに帰りが遅い日があったのは離任の準備だったんだと今更合点がいく。 「長岡先生、離任されるの?」 「うん。 そうみたい」 「そう。 若いのにしっかりしてて良い先生だったのに。 でも、一緒に卒業なのね。」 「うん、そうだね」 前向きな母の言葉に頭をしっかりと上下させた。

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