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第1244話
トイレに入るなり、コツコツとポケットを爪先が叩いた。
「…?」
スマホをメモ画面にして差し出すと、画面上を綺麗な指がなぞった。
『今日は早く帰れるから一緒に飯食うか?』
顔を上げると、どうする?と小首を傾げる恋人。
三条は一も二もなく頷いた。
『昼、みんなでモフ行きます
また戻ってきて図書室で本読ませてもらって』
そうなぞっていると、冷たくて大きな手に手をとられた。
なんだ?と顔をあげると、その手の平に吸い付かれる。
チュ
心臓がドキドキと騒ぎ五月蝿い。
捕まれた手の冷たさと触れた唇のぬくもりに、ゆっくりと唇を近付けた。
チュ、ゥ
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