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第1249話
握ったままだったティッシュをまた流すと身支度を整え、教師と教え子を装う。
「どっか汚れてねぇか?」
「大丈夫だと思います。
……あの、先生も」
「先生?」
「…まさ、むねさん」
名前を呼ぶと恋人は嬉しそうに口角を上げた。
綺麗な顔で、愛おしそうに。
拭ったといっても汚れた手でスーツに触れるのには抵抗があった三条は、肩に頭をのせぐりぐりと擦り付けた。
甘える恋人に長岡は口角を上げされるがまま、三条の好きな様にさせる。
「遥登」
だけど、タイムリミットは近い。
くんくんと首に顔を埋める三条のこめかみにリップ音をたてた。
「また、後でな。」
物足りなさそうな三条は長岡の口の端にちゅっと唇をぶつける。
「後で、です」
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