1252 / 1273

第1252話

随分と物の減った机上だが、卒業式後に撮ったクラス写真はいまだ机の上に飾られている。 特等席も変わらない。 夕飯、なんにすっかな あ、牛乳ねぇのか 買って帰らねぇと遥登が飲む分がねぇな 恋人は一足早く部屋に行って居るだろうか。 食事の準備なら話は別だが、三条は自分がない時に冷蔵庫を開けたりしない。 勝手に開けたって構わないのに。 牛乳の他に三条の分の飲み物も買っていこうかとぼんやり考える。 長岡は、17時半になりノートパソコンの電源を落とした。 「お疲れ様です。 お先に失礼します。」 「お疲れ様でした。」 「長岡さん、今日はゆっくり休んでください。」 鞄と離任式でもらった花束を手に周りに声をかけるとにこやかに送り出された。 教室が夕焼けに染まり廊下に色が溢れている。 フラフラと足が教室へと向かう。

ともだちにシェアしよう!