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第1262話

起き抜けのままのベッドがやけに生々しくて歩みが止まってしまった。 後ろ手に戸を閉めたまま動かない三条に長岡は振り返る。 「遥登?」 「…は、恥ずかしい…だけ、です」 「んだ、それ。 かわい。」 髪をくしゃりと撫でられながらキスを受けていると後ろ向きに動かれる。 今の三条には、転ばない様に腕にしがみ付いて縺れそうな足を動かすしか出来ない。 だが、ふくらはぎに何か触れたと思った瞬間、ドサッとふとんに倒れてしまった。 自身の重みで長岡のにおいが濃くなる。 「う…わっ」 「自分からふとんに誘うなんてやぁらし。」 倒れた三条の上に乗り上げてきた長岡の髪が、サディスティックな目を隠す。 その色気といったらない。   綺麗な弧を描く唇が近付いてくると反射的に目をきつく瞑る。 そして、やわらかく触れる唇の気持ち良さに包まれた。 「ほんと、キス好きだよな。」 「それは、」 「俺も遥登とのキスすげぇ好き。」 そんなやらしい声で言われたら。 「遥登。」 顔にかかる髪を後ろに撫で付けられ感じている顔がモロにバレてしまう。 「遥登。 すげぇ好き。」 タオルをベッドの外に落とされ、身体を隠すものはなくなった。

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