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第21話
インターホンを鳴らし名乗るとすぐに玄関が開いた。
三者面談でも会った三条の母親だ。
「おはようございます。
申し訳ありません。
ご迷惑をおかけしました。」
とペコペコする母親は三条によく似ている。
穏やかな顔立ちは母親から譲り受けたものらしい。
父親の顔は分からないがきっと母親似なのだろう。
「私の方こそ申し訳ありませんでした。
私がもっと早く気付いていれば…。
まだ少しふらつく様ですので休ませてあげてください。」
と三条を残してきた車に向かう。
大丈夫か、と助手席を開けて後部座席からスクールバッグと制服の入った紙袋を持つ。
三条が空気を動かすと三条の清潔なにおいが濃くかおった。
自分が汚しても汚れない。
よたよたと自宅に向かう三条の腰にするりと手を回し、いかにも病人にと言った具合に世話をする。
「…っ!」
途端、ぴくりと肩を震わせ身体に緊張が走ったのが解った。
本当飽きない反応だ。
汚したい。
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