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第25話
意識のない三条と鞄を抱えこっそりと駐車場に向かう。
幸運な事に誰にも会わずに済んだ。
こんな事がバレれば新聞沙汰だ。
ニュースになって教職を続ける事は出来ない。
三条もこの学校にはいれなくなるだろう。
この学校、で済めばマシか。
男性教師と一方的にでも関係を持った生徒。
SNS上ではあることないこと囃し立てられ、マスコミの格好の餌食だ。
しっかりと理解している。
理解した上での事だ。
三条を助手席に乗せ自分も運転席に乗り込むと自宅へと向かう。
帰宅後汗やら体液やらでベトベトになった身体を濡れタオルで拭い吐き出した欲を掻き出し、服を着せ替え自分のベッドに寝かせてやる。
髪を梳くとさらさらと手から零れていった。
三条の性格を表す様な真っ直ぐな髪が好きだ。
三条…
ほんのり目尻が赤くなっている。
もう涙も乾いたそこをそっと撫でた。
…おやすみ
もう1度髪を撫でるとクローゼットから圧縮した毛布を手に部屋を後にする。
今だけだ
きっとすぐにこの痛みなんて忘れる
チクリ、チクリ、どこかが痛いのは気のせいだ。
きっと気のせいだ。
その夜ソファの上で毛布にくるまりながら夜を明かした。
寝付ける筈もない。
翌日、授業用ノートを作っていると寝室から何かが落ちる様な鈍い音が聞こえた。
リビングと寝室とを隔てる扉を開けると床に転がっている三条は弾かれた様に此方を見た。
「三条、おはよう」
にっこり微笑むと三条は小さく肩を震わせ一所懸命身体を隠そうとシーツを手繰り寄せる。
手が小さく震えていて上手く使えていない。
そんな三条に昨日の現実を突き付けた。
画面をスクロールさせる度にあの目は潤み今にも泣きそうになる。
たまらない。
そうさせているのは自分なんだという喜び、優越感。
その目だ。
たまらないんだ。
チクリ、チクリ、チクリ、
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