16 / 115

第16話

 挨拶をして、入り口の扉を押す。桐島が頭をさげると、カウンターの奥で上城が微笑みながら見送ってきた。自分にも笑いかけて欲しいなと思う気持ちが胸の奥からわきあがる。そんな、同性の自分から見ても魅力的な微笑みだった。  お宮通りの入り口までアキラに送ってもらい、礼を言って別れる。駅へと向かう道すがら、桐島がため息まじりにこぼしてきた。 「……上城さん、カッコいいわー」 「確かに。カッコよかったね」  あんなイケメンはそうそういない。桐島がぼうっとなってしまうのも頷ける。 「危ないからもう来るな、って言われちゃったけど、また行きたいなあ」 「だね」  賛成しながら、自分もまた行きたい気持ちになっていることに気がつく。あの店の雰囲気もよかったし、彼にもまた会いたい。 「大人っぽくて素敵だし……。あんな人が彼氏になってくれたら、毎日楽しくすごせそうよね……」  夢見るような表情で呟く桐島の脳内では、もう彼との恋愛が妄想で始まっているようだった。 「上城さんって、歳はいくつなんだろうな」  ふと思いついたことを口にしてみる。落ち着いた雰囲気から自分らよりもずっと年上に見えたのだが、二十代後半ぐらいなんだろうか。 「二十五歳なんだって」 「え。そうなんだ。って、なんで知ってるの?」 「アキラさんに訊いたの。上城さんっていくつなんですかって。さっき話してるときに教えてもらったの」 「へえ……。もっと年上かと思ったよ。やっぱり自分で店持ってマスターをしてるとしっかりしてくるのかな」 「そうなんじゃない。ちなみにアキラさんはあたしらと同い年。これはアキラさんが自分から教えてくれたんだけどね」 「なるほど」  桐島は歩きながらスマホを取りだして、操作し始めた。 「とりあえず、メッセージアプリでつながったから、情報ゲットしてお近づきにならなくちゃ」 「え? メッセージアプリ? 上城さんと?」  いつの間にそんなことしてたのかと、びっくりする。

ともだちにシェアしよう!