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第17話

「違う違う、アキラさんとよ」 「アキラさんに桐島、頼んだの?」 「まさか。あっちから訊いてきたの。あたしからじゃないわよ。ナンパされたの」 「ああ、そう」  アキラは桐島を気に入っていたようだったけど、手が早い。 「将を射んと欲すればまず馬を、ってね」 「アキラさんは馬かい」  呆れて見返せば、桐島は小悪魔のように微笑んだ。 「そ。アキラさんの話じゃ、上城さん狙いで、あのお宮通りをくぐり抜けて通いつめてる女性客が結構いるらしいのよ。負けてられないじゃん」 「……へえ」  確かにあの見た目なら、それもあるだろうと、帰り際に見せられた笑顔を思いだす。あんなの向けられたら、普通の女の子だったら一発でコロリと行きそうな気がする。  自分は男だからそんなことはないけどな、と思いながら、けれど胸の中でなにかがコロリと転がったような感触を覚える。  なに今の? と胸に手を当てて、陽向は正体不明の感覚に頭をひねった。 「陽向も協力してくれる? また、あの店に行きたいんだ」 「……ああ、いいよ」  答えながらも、うわの空になりつつ、陽向は自分の中の変化に小さな疑問を感じていた。

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