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第24話

「あんたも入会するの?」 「いえ。俺は、しません」 「なんだ。しないのか」  じろじろと観察するように眺められて、戸惑いながら相手を見返す。 「すればいいのに。そしたら少しはその緩い身体も鍛えられるんじゃね?」  やっぱり嫌われてるのか、言い方が冷たい気がした。気に入っている桐島と仲よくしている陽向を見て、ライバル心でも煽られたんだろうか。 「や、俺は、殴りあうスポーツは無理ですから」 「ふうん」  上城はポケットから手をだして、自分の腰に当てた。と思ったら、その手を陽向の脇腹に向けてくる。いきなり肉を掴んでグニッと揉んできた。 「あ、ひっ、やっ――」  不意にをつかれて、裏返った声がでる。それに、上城もびっくりして手を引いた。 「なっ、なんだよ、ヘンな声だしやがって」 「い、いや、上城さんがいきなり掴んでくるから」  身を縮こまらせながら答えると、上城は困惑したように端正な眉をよせた。 「硬さ見ただけだよ。そんな怖がんなよ。しかし筋肉全然ねえんだな。フニフニじゃねえか。ガキの腹でも、もっと硬てえよ」 「え? ……ええ。体力は必要最小限でまかなう文化部系男子だったもので」 「へえ」  陽向は、運動は体育の授業以外したことはない。鍛えていないので触れられるのもなれていなかった。 「あの……脇腹とか弱いんで、触るんだったらまえもって言ってくださいね」  気分を損ねてしまったのかと、委縮して遠慮がちな言い方をしてしまう。上城はそんな陽向を、じっと見つめてきた。なぜか指で目のふちを拭うようにして、不愛想に言い捨てる。 「そうだな。このまえ触ったときもエロっぽい声だしてたもんな」 「えっ」 「ちょっと触っただけだったのに」 「ええ?」  このまえ触ったときって? 股間をお世話させてしまったときのこと? あのとき俺そんな声だしてたっけと考えながらよくわからない言い訳を口にした。 「……合唱部で天使の歌声って言われてたもので」 「なんだよそれ」  呆れたように言われて、やっぱり機嫌が悪いのかと思った。自分と話すのに苛ついているような気もする。  この状態をどうしたものかと思っていたところに、桐島が戻ってきてくれた。 「あ、上城さん。こんばんわ」  明るく声をかけた桐島に、上城も振り向いてにこりとする。

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