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第46話
上城は、桐島は可愛いと思うが趣味じゃないと言っていた。それが、『喰う』気になったのなら、何度か会っているうちに考えが変わって好きになったのだろうか。そう考えている間も胸はずきずきと痛んできた。
ふたりが恋人関係になってしまうのは、考えたくなかった。どう返信したらいいのか、履歴を読みなおし、画面をうろうろとスクロールさせる。
そのうちに焦りはどんどんエスカレートし、ついには勝手に指先が文字を刻んでいた。
『いやです』
送信してしまってから、なんで、と唖然としてしまった。
しばしの沈黙のあと、軽快なリズム音がスマホから流れてくる。
『だったら来いよ。待ってるからな』
文面から満足げな様子が漂ってきている気がするのは、思考が混乱しているせいなのか。
陽向はスマホをベッドに放りだし、ばたんと仰向けに倒れ込んだ。
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