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第47話 混乱デート
桐島にはまえもって、上城から来るように言われたことは伝えておくことにした。
講義が終わったあと、学食に併設されたカフェで、お互い飲み物を買ってテーブルにつく。一緒に受ける資格試験の話をしたあとで、陽向は映画の話を切りだした。
嫌がるだろうと思っていたら、予想外にも彼女は考え深げに答えてきた。
「なんかね、あれから上城さんからメッセージが来て、何度も陽向は誘わないのか、って聞かれてんのよ」
「そうなの?」
「うん、そうなの。ねえ、これってどういうことだと思う? あたしとふたりっきりってのは、嫌なのかなあ」
コーヒーフロートを飲みながら、桐島が相談してくる。陽向はアイスティーのストローをかき回しながら、答えに窮してしまった。
「……さあ。見かけによらず、シャイなんじゃないのかな」
と上城の人柄からは全く想像できないような理由を告げてみたけれど、桐島は疑いもせず「そうなのかもね……」と納得顔で頷いてきた。
「ふたりで会ってても、なんか礼儀正しいっていうか、がっついた感じがないっていうか」
ふむふむと陽向の方も、上城のことは知りたくてつい聞き入ってしまう。
「親切だし、優しいんだけど、客と店主、またはスタッフと生徒以上には発展しないっていうか」
プラスチックのスプーンをぶすぶすとアイスクリームに突き刺しながらぼやいてくる。
「あー、やっぱ、あたしの方からもっと攻めていこうかな。他の誰かに取られないうちにさあ」
陽向はズズ、と音をたてながらアイスティーを啜り、その言葉に黙り込んだ。
「どう思う? 陽向は?」
「……いいんじゃない」
自分がとやかく言う問題ではない。桐島がやりたいと思うことをするべきだろう。
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