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第105話 *

「上城さんの、これ、欲しい」 「……」 「だから、俺ん中で、俺の、好きにさせて」  上擦った声で訴えれば、上城は、一瞬なにを言われたのかわからないというような表情をした。  そうしてから、口元を歪めるようにして笑った。 「……おまえは、ホントに」  それ以上の言葉は途切れた。あとは行為で示してくれと言うように、下半身をよせてくる。  陽向が上城の分身から手を離すと、内腿を手でぐっと押さえられて足を左右に広げられた。  腰が浮きあがり、ひらいた足の奥に侵入してくる硬さを感じる。  予期はしていたけれど、想像をはるかに上回る衝撃的な感覚だった。  痛くはないが、こじあけられるような奇妙な触感で、そんなところを擦られたら、きっとなにも考えられなくなって、頭がおかしくなるだろうという予感に襲われた。それと共に、触れあう場所からぞわぞわと悪寒が這いあがってくる。 「陽向……」  上城が、陽向の首筋に前髪を擦りつけながら囁いてきた。 「つかまって、……力抜け」  つらそうに頼まれて、陽向は素直に首に両手を巻きつけるようにした。 「――ああ」  陽向の首元に顔を埋めた上城が、思わずといったように小さく呻く。その甘い喘ぎに、陽向も心の中から溶かされた。 「……きついな……中……、まるで歯、立てて喰われてるみたいだ」 「上城さん……」  回した腕に力をこめる。上城が呼びかけに応えて唇をあわせてきた。 「(もとき)だよ」 「……え」 「礎って、呼んでくれよ」  お互い、吐息も舌先も熱を持ったかのように熱い。  絡めあって、溶かしあっているうちに、上城のものがさらに陽向の中に入りこんできた。敏感な粘膜に重ねて与えられる刺激が、全身を震わせる。 「……礎さん」  忘我の快楽に飲みこまれていくのが怖くなり、助けを求めるように相手に縋った。上城の滑らかな筋肉に指先が喰いこむ。  強い弾力のある、鍛えられた拳闘士の肌だった。 「陽向」  上城がぐっとまえのめりになり、身体を押し進めてくる。  挿入の圧迫感がきて、上城が自分の中にいるということを切実に感じた。相手も痛みをこらえるかのような顔をして、もう我慢できないというように、腰を押しつけてきた。 「ああ……、すげ……。全部、喰われた」 「礎さんの、……大き……すぎ……きつ……」 「んん。おまえのせいだよ」

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