105 / 115
第105話 *
「上城さんの、これ、欲しい」
「……」
「だから、俺ん中で、俺の、好きにさせて」
上擦った声で訴えれば、上城は、一瞬なにを言われたのかわからないというような表情をした。
そうしてから、口元を歪めるようにして笑った。
「……おまえは、ホントに」
それ以上の言葉は途切れた。あとは行為で示してくれと言うように、下半身をよせてくる。
陽向が上城の分身から手を離すと、内腿を手でぐっと押さえられて足を左右に広げられた。
腰が浮きあがり、ひらいた足の奥に侵入してくる硬さを感じる。
予期はしていたけれど、想像をはるかに上回る衝撃的な感覚だった。
痛くはないが、こじあけられるような奇妙な触感で、そんなところを擦られたら、きっとなにも考えられなくなって、頭がおかしくなるだろうという予感に襲われた。それと共に、触れあう場所からぞわぞわと悪寒が這いあがってくる。
「陽向……」
上城が、陽向の首筋に前髪を擦りつけながら囁いてきた。
「つかまって、……力抜け」
つらそうに頼まれて、陽向は素直に首に両手を巻きつけるようにした。
「――ああ」
陽向の首元に顔を埋めた上城が、思わずといったように小さく呻く。その甘い喘ぎに、陽向も心の中から溶かされた。
「……きついな……中……、まるで歯、立てて喰われてるみたいだ」
「上城さん……」
回した腕に力をこめる。上城が呼びかけに応えて唇をあわせてきた。
「礎 だよ」
「……え」
「礎って、呼んでくれよ」
お互い、吐息も舌先も熱を持ったかのように熱い。
絡めあって、溶かしあっているうちに、上城のものがさらに陽向の中に入りこんできた。敏感な粘膜に重ねて与えられる刺激が、全身を震わせる。
「……礎さん」
忘我の快楽に飲みこまれていくのが怖くなり、助けを求めるように相手に縋った。上城の滑らかな筋肉に指先が喰いこむ。
強い弾力のある、鍛えられた拳闘士の肌だった。
「陽向」
上城がぐっとまえのめりになり、身体を押し進めてくる。
挿入の圧迫感がきて、上城が自分の中にいるということを切実に感じた。相手も痛みをこらえるかのような顔をして、もう我慢できないというように、腰を押しつけてきた。
「ああ……、すげ……。全部、喰われた」
「礎さんの、……大き……すぎ……きつ……」
「んん。おまえのせいだよ」
ともだちにシェアしよう!