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第3話
どうやらギイの記憶は、僕だけを除外するかの様に僕の事を憶えてはいなかった。
僕の立ち位置は『ただのクラスメート』
それ以上でも、それ以下でもなかった。
君から感じた視線に以前の様な優しく愛しい感情は見えなかった。
『お前の事は知らない』と拒絶されてる様だった。
そして僕の呼び名は『タクミ』から『葉山』に変わっていた。
目の前にいるギイは、僕の知っているギイではなくなっていた。
その時、僕はやっと理解した。
なぜ、僕と赤池くんが呼ばれたのか。
ギイにとって・・・
ギイの未来に僕は必要ないと排除されたのだ。
彼のいる世界によって・・・
ギイが事故で記憶が曖昧だったのか、既に全てを忘れてしまっていたのかはわからない。
彼には既に新しい記憶があり、その記憶の中で僕の立ち位置は『ただのクラスメート』。
仕方がない・・・
ギイが僕を忘れていてもいいんだ。
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