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第5話
「折角来たんだから、数日はニューヨークに滞在して見物していくんだろう?」
「いや、ギイに会いに来ただけだから明日の便で帰るんだ。」
「そうか、残念だな・・・」
「また、会えるさ」
「そうだな・・・俺も、日本に行くときは連絡する」
「あぁ、待ってるよ・・・じゃぁな、相棒・・・葉山・・・」
赤池くんが僕に声をかける。
無言で見つめる瞳は「いいのか、このままで本当にいいのか」とうったえている。
「ギイ、元気で・・・」
「あぁ、葉山も・・・」
僕は踵を返して部屋を出た。
涙が溢れそうで・・・
こんな顔を見られたくなかったから、足早にギイの前からフェイドアウトした。
赤池くんは、そんな僕を追うようにギイを残して部屋を出てきた。
「葉山、大丈夫か?」
「赤池くん・・・・」
「ギイに言えば良かったんだ、何で忘れてるんだって・・・ふざけるなって、なんで言わなかったんだ!
隠れて涙なんか流すなよ・・・」
「ごめん・・・・・うっ・・・・・」
赤池くんが怒るのも無理はない。
責めたって良かったんだ・・・
でも、それさえ僕はできなかった・・・
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