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5. 嫉妬(櫻路SIDE)
俺には1つ上の兄が居る。
兄は凄く綺麗で可愛い上に格好良さも兼ね備えている為、老若男女関係なしに好かれる。
尚且つΩ特有の甘くて濃厚な極上のフェロモンを周囲に撒き散らすせいで、目を離すとスグ絡まれる。
本人は自分の魅力に完全無自覚で、不躾に見られたり絡まれたら喧嘩を売られたと勘違いして手を出し、相手も応戦してしまうからか喧嘩へと発展する。
中学から身体を鍛えだした為喧嘩にも強くなり負ける事は殆ど無いが、喧嘩っ早いのは心配だ。
可愛い顔に傷が付いたらどうするんだ。
もし少しでも跡が残ったら付けた相手を殺すぞ?
最初は行き過ぎたブラコンの域だったが、兄に好きな人が居るのに気付いてからは恋に変わった。
兄は隠していたし、周囲も気付いていなかったが、俺は兄が親友であるむつさんと付き合っていたのに気付いていた。
四六時中ストーカーの如く見ているんだ。
気付かない方が不自然だろう。
毎日幸せそうにむつさんの隣で笑う兄にズキズキ心が痛んだ。
だが、兄の幸せは長く続かなかった。
むつさんが記憶喪失になり、その後思い出す事無く離れ離れになったからだ。
むつさんと離れてから兄は変わった。
ふわふわ可愛い天使みたいな髪型や服装と可愛らしい声や仕草や雰囲気を変え、男らしい仕草や服装をする様になった。
成長するにつれ背も伸び容姿は変わったが、俺には兄はまだ天使に見える。
兄がΩになった為俺に任せられた性欲処理係。
かなりの役得だ。
俺の腕の中で身を任せる姿は物凄く可愛くて、俺は益々兄を好きになった。
キスをして抱き締めると、抱きたくて堪らなくなる。
自分の欲望で貫き、誰も入った事のない位奥迄入り込み突き上げ種付けし孕ませたい。
そして誰も知らない所に監禁し、自分だけの物にしたい。
俺だけを見て愛して欲しい。
日々深まる想い。
愛しくて堪らない。
だが兄の中にはむつさんが居るらしく、なかなか抱かせてくれない。
その代わりに俺はフ〇ラを欲求した。
最初は抵抗があったのか恐る恐るしていた兄だったが、毎日数え切れない位させていたら慣れたのか自分から舐め上げたり尿道に残った残滓迄吸い取って飲み干してくれる様になった。
尚且つ美味しいって幸せそうに言うのだから愛しさ倍増だ。
今日も朝から起床時と登校前に沢山キスとフ〇ラをして貰い上機嫌で登校したのだが、昼休みに問題が発生した。
自分の頭の中で、もう二度と現れないと勝手に決め付けていたむつさんが転校してきたのだ。
で、再会した桃李は俺との食事とその後の行為を断りむつさんを選んだ。
尚且つ放課後さえむつさんを部活に連れて行く為にごめんねの一言で目の前から消えた。
余りのショックで目の前が真っ暗になった。
完全に心が折れた俺はさっさと生徒会の仕事を終わらせ帰宅した。
夕食時上機嫌にむつさんと再会した事を話す桃李に涙が零れそうになった。
当然食欲なんて沸く筈も無い。
食事を中断して部屋に戻ると、心配してくれた桃李が部屋に来てくれた。
「どうした?」
そっと掛けられる声。
思わず力強く抱き締めた。
「櫻路?」
オロオロ心配そうに名前を呼ぶ桃李。
可愛くて堪らない。
「ねぇ桃李」
「ん?」
「むつさんと縒りを戻すの?」
「え?」
桃李は俺が気付いていた事を知らない。
誰にも言わずに隠していたのだから。
「昔2人が付き合っていた事知ってるよ。むつさんが記憶喪失になったせいで別れた事も」
「……マジか……ほんっと櫻路には隠し事出来ないね。再会出来たけれど、今の関係は友人だよ。ハッキリ言うとまだ好きだけれど、言うつもりはないかな。嫌われたくないしさ?」
やはりまだ未練タラタラだったか。
分かってはいたが本人の口から好きだと聞かされるのはツラかった。
「ねぇ桃李。お願いがあるんだ」
「何だ?」
「もしむつさんが記憶を取り戻したり、縒りを戻したりしても側に居てくれる?今日みたいに一人にされるのは嫌なんだ。桃李が側に居ないと寂しい」
むつさんと居る事で、蔑ろにされるのは嫌だ。
今迄通り側に居て欲しいし、キスもそれ以上もしたい。
唯の我が儘だって分かってる。
それでも苦しくて胸が締め付けられそうなんだ。
嫌だ。むつさんの側に居て欲しくない。
俺の側に居て欲しい。
俺の事だけを見て?
俺の事以外考えないで?
嗚呼、これは嫉妬だ。
これから先の事を考えるだけで、頭がおかしくなる。
「好きなんだ桃李。勿論家族としても好きだけれど、それ以上に一人の人間として愛してる。俺だけを見てて欲しい」
あ~あぁ。突然こんな事言っても困らせるだけなのに何言ってんだか俺。
案の定
「ごめんね櫻路」
桃李は困った様な顔で謝った。
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