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8. 全部お前のせい(桃李SIDE)
あ~あぁ。遂にやってしまった。
兄弟として越えてはいけない一線。
甘過ぎる誘惑に負け、そのまま抱かれてしまった。
ていうか、メチャクチャ気持ち良かった。
途中何回も気ぃ失ったしな。
ヤバいよ。櫻路の最高。
反り具合も凄いし、硬くて大きくて長いのに全然痛くないし、ほんっとどうなってんの?
意味分からん。
イき捲ったせいで途中から意識朦朧として記憶ないけれど、最強に気持ち良かった事だけは覚えてる。
でも何故か目が覚めたら布団とシーツが新しいのに変わっていた。
何故だ?
気になるが、聞かない方が良い気がする。色々と。
「おはよ。よく寝てたね」
完全に目を覚ますと眼前に広がる煌びやかな笑顔。
メチャクチャ幸せそう。
なんかここ迄嬉しそうにされたらコッチ迄嬉しくなる。
「もう一回して良い?」
聞かれたが、そんなのしてたら絶対に遅刻する。
「時間ないから我慢しろ」
拗ねる櫻路を無視して、いつも通り朝から元気な物に舌を這わせた。
「ごめん、やっぱり付き合えない」
登校するなりむつに謝った。
むつの事は大好きだった。
未練タラタラだったし、逢いたくて堪らなかった。
だが逢って付き合ってみるとなんか違った。
好きにもタイミングがあるのだ。
もしむつが記憶喪失にならず、ずっと付き合ったままだったらまだ好きだった。
櫻路にも抱かれたりせずむつだけを見ていた。
だけど長い間離れてる間に数え切れない位沢山の愛を与えられ続けたせいで、心は傾いてしまった。
思えば小さい頃から櫻路は俺一筋だった。
いつだって自分より俺を優先してくれてたし、大事にしてくれていた。
好きや可愛いの台詞も毎日言ってくれてたしな。
折角恋焦がれていた初恋の相手に再会出来て縒りを戻せたのに振っちゃうし、ほんっと人生はどうなるか予測不可能だ。
「桃李」
ふわり優しく微笑まれてキュンキュンしてしまう俺はもう完全に櫻路に落ちている。
まさか実の弟に恋をしてしまうなんて、有り得ない。
これから先不安しかないし、どうすんだよ俺。
あ~あぁ。
でもそれもこれも全て、コイツが眉目秀麗で頭脳明晰で運動神経抜群で性格迄良いせいだ。
って、完璧か。悪い所1つもないじゃんか。
何それムカつく。羨まし過ぎるだろマジで。
櫻路に溺愛されて落ちない人間なんて存在するワケがない。
居たら絶対それは見る目の無い奴に決まってる。
俺がお前を好きになったのは全部全部、お前のせいだ。
責任取って一生側に居ろ。
「好きだ、バカ」
噛み付く様に唇を重ねた。
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