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9. 変わらない気持ち(櫻路SIDE)
毎日数え切れない位キスをして、フ〇ラをして貰い、気を失う迄抱き潰して腕の中に閉じ込めて眠りに就く。
愛しくて堪らない存在を手に入れて俺は幸せを満喫していた。
2年に進級し、生徒会では庶務から副会長に昇格した。
このまま行くと来年は会長になれそうな気もする。
生徒会のお陰で友人や教師にも信頼されているし、最近は今迄恥ずかしがって甘えてくれなかった桃李が少しずつデレ始めてくれ、有り得ない位順風満帆だ。
幸せの真っ只中に居た俺はある一つの可能性を忘れていた。
それは運命の番。
αとΩには運命の番が居る。
それは必ず逢えるとは限らないが、もし出逢えたらその2人は幸せに結ばれると昔から言われている。
ある意味お伽噺だ。
俺と桃李は運命の番ではないが、互いに想い合い一緒に居る。
どんな事があっても離れず側に居る。
そう思っていたのに、人生何が起こるのか全く予想が出来ない。
下校途中のJRの駅で偶然俺は運命の番に出逢ってしまった。
其奴は突然現れ
「見付けた。僕の王子様」
理解し難い吐きそうな位気持ち悪い台詞を口にした。
確かに名前はおうじだが漢字が違う。
可愛らしい顔と甘ったるい香り。
キラキラ目を輝かせながら上目遣いで俺を見つめ、勝手に腕を絡ませてきた。
オイ、よく見ろ。
隣に桃李が居るだろ。
明らか一緒に行動してただろうが。
そんなのも分からないのか?
軽く振り払ったのに無理矢理纏まり着く其奴は勝手に家に迄押し掛け、両親に自分が俺の運命の番だと宣言した。
お陰で桃李は傷付いた顔をし、涙目になって自室に篭った。
好きな人が居るから付き合えないと拒絶したが
「折角だから断る前に少しだけでも様子見てみたら?」
と母に言われ1日だけ側に居てみる事にした。
其奴はナルシストらしく、自分を可愛いと言い切った。
確かにアイドルに居そうな顔立ちをしているし、背も小さい。
だが、中1迄の桃李の方が天使みたいに可愛かった。
綺麗さでは今の桃李の方が明らかに勝っている。
本人は普通にしているのかもしれないが、声も仕草も自分にはあざとく見えて受け付けられない。
スグに密着してくるのも生理的に無理だった。
「ねぇ。欲しいの。ちょうだい?」
甘える様に強請られ無理矢理キスをされて吐き気がした。
うん、無理。
1日でも一緒に居れない。
運命と言えども気持ち迄は変えられない。
桃李が好きだ。
桃李以外考えられない。
「ごめん、やっぱり無理」
バッサリ切り捨て、自宅へ足を向けた。
帰宅するなり桃李じゃなきゃ無理だと告げ、桃李を抱き締めた。
血の繋がりも性別も運命も関係ない。
俺が好きなのは桃李だけ。
今も昔もこれからもずっと変わらない。
「桃李を俺に下さい」
父と母に頭を下げた。
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