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第8話
気が動転していた僕は寒い廊下に腰をおろし、頭を冷やそうとした。
誰とシたんだろう。
先生の事を好きと言っていたクラスの奴の顔が頭に浮かぶ。
きっと奴は幸せなんだろうな。好きな人とできたんだから。
僕だって、先生のこと...。
「...萌里?」
「えっ!?」
声の方を見上げると雅先生が立っていた。
「寒くね?って、何、泣いて……」
「せんせ、っ...」
「どーしたー?今日の萌里は素直で可愛いなー」
突然抱きついた僕に慌てることなく、抱きしめ返してくれる。
先生は僕より断然男っぽい指を僕の少し癖のある髪に絡ませて微笑んでいる。
そんな僕達の背後で保健室の扉の開く音がした。
とっさに先生と離れようとしたけれど、相手には見られていたらしい。
「おー。黒木センセーと森センセー」
出てきたのは僕のクラスの担任の黒木先生と隣のクラスの担任の森先生。
そう。二人共男。
黒木先生は僕と先生の状態を見て、口を開き、またすぐに閉じた。
そして僕も混乱した頭を正常にするために脳をフル活動させた。
保健室に居たのは雅先生ではなく、黒木先生と森先生。
だから僕が聞いたのは先生と誰かの行為の声ではなく、黒木先生か森先生の鳴き声……。
雅先生以外の僕ら三人は目を合わせたまま固まってしまった。
僕はどうやらとんでもない事実を知ってしまったようだ。
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