44 / 46
44-1.天国を見せてやる(アキ攻めver.)
「それじゃあ、僕が勝さんに挿れたい」
「ああ、いいぞ」
東郷はあお向けになると脚を広げた。手のひらに受けたローションを自分のペニスに塗りこめ、アキは東郷の膝を持ち上げる。初めて見る東郷のアヌス。周囲が少し赤みがかっている。そこにぬめった指を入れてみた。指が吸いこまれるような感覚。東郷のアヌスは、“待ちわびていた”と、どんどんアキの指を飲みこむ。
「あっ…いいぞ、その上…指で押してくれ」
「こう?」
言われたとおりに中で指を折り曲げ、グイッと押してみると、東郷が背をのけぞらせた。
「うあっ…!」
東郷の少し曲がったペニスがビクンと反応する。亀頭はもう濡れている。
「ここが気持ちいい?」
また、同じ所を刺激する。東郷が喜びの声をもらす。仕事上の演技などではない、本能からの声。自分が東郷をそうさせている、と思うだけで、アキは絶頂のときにも似た快感を覚える。
「すごい…勝さんの中、気持ちいい…」
東郷を感じさせているはずなのに、自分の指が気持ちよくてたまらない。ないはずの性感帯を、指全体に感じてしまいそうだ。ぴったりと吸いついて離れない肉の壁は、愛する人を拒まない。
「指でこれだけ気持ちよかったら、実際に挿れたときはどんなに気持ちいいんでしょうね」
「なら、試してみろ」
挑戦的な笑みと言葉に、アキはローションまみれのペニスをあてがった。もう限界だ。早く入りたくて、アキのペニスも先が濡れていた。ローションと先走りが絡まった大きな弾丸が、東郷の中に撃ちこまれる。
「くっ…!」
久しぶりの挿入のせいか、東郷の眉がしかめられた。ふうっとゆっくり息を吐くと、ペニスが飲みこまれていき、根元まで埋まった。
肉の壁に押しつぶされる感覚。亀頭になめらかな感触があるのは前立腺か。抜き差しを繰り返すと、カリ首の引っ掛かり具合がクセになる。
「うっ…くっ…、勝さん…気持ちよすぎ…!」
さっき射精したばかりなのに、数回腰を動かしただけで、もう絶頂が来ようとしている。アキが動きを止めると、東郷が体を起こした。繋がったままアキの体をあお向けに寝かせ、騎乗位になる。
「アキ、天国を見せてやるぞ」
東郷が腰を上下させる。ただ単調に腰だけを動かすのではなく、入り口を少し締めたり緩めたり、前後にも腰を揺らし、アキを翻弄する。
「アキ…愛してる…」
上からとろけそうな瞳で見つめられ、アキのペニスが東郷の中でビクンと跳ねる。
「あっ、アキ…、そこ、もっと…」
亀頭が、ちょうど東郷が喜ぶ場所に当たったようだ。そこは、アキも気持ちいい。同じ場所で同じように感じる。その一体感が体を高ぶらせる。射精感に耐えながら、何度もペニスを動かし、そこを愛撫する。だが、東郷が激しく腰を動かすため、もう限界だ。
「ああっ、ダメ、勝さんっ! もうイクよっ…!」
我慢できずにアキも腰を振り、東郷の中で全てを出した。二回も射精したのは仕事のときにもあったが、ショーの最中であるという気の張りがあったため、ここまでの疲労感はなかった。心地よい気だるさが、アキに訪れる。だが、東郷の締めつけは揺るまない。
「はあっ、イクッ…!」
東郷も腰を何度か打ちつけると、アキの胸元に白いものを散らした。
ズルッとペニスを抜いた瞬間。東郷は脱力して、アキの隣であお向けに倒れる。アキは東郷の亀頭をきれいに舐めた。さっきのお返しだ。だが、東郷がくすぐったがってもアキはやめない。いつまでも亀頭に舌を絡ませる。
「…共演したときのお掃除フェラを思い出すな」
シックスナインの体勢に近い。東郷はアキの頬を撫でる代わりに、尻を撫でて優しく微笑んだ。
東郷の隣に、アキもキスマークだらけの体を横たえたが、セミダブルでは窮屈で体が落ちそうだ。目が覚めたら床の上、ということになるかもしれない。東郷が喉の奥で笑いながら、アキを抱き寄せた。
「これからアキとこうして寝るなら、セミダブルじゃなくてダブルベッドにしないとな」
「大丈夫ですよ」
アキの腕が、東郷の汗ばんだ背中に回る。
「こうして、くっついて寝ますから」
ほどよく筋肉がついた胸元に、アキは顔を押しつける。チュッと音を立ててキスをすると、汗ばんでいるせいか、塩の味がした。
「アキは奥手だと思っていたが、セックスでは意外と積極的だな」
「そうさせたのは、きっと」
アキの指が、東郷の胸元をたどる。
「勝さんですよ。ショーのときとカップル喫茶で、鍛えられたんでしょうね」
「…そうか…小悪魔アキはショーで育っていったんだな」
新人だったころのアキを奏と組ませて成長させ、奏が退店してからはアキがナンバーワンになった。その四年間を思い出しながら、東郷はしばらくアキを抱きしめていた。
どれぐらいそうしていただろうか。心地よさにアキがうとうとしかけたころ、いきなりアキの体があお向けに転がされた。東郷にしっかりと両手首を握られる。
「…勝さん…?」
「アキ、これは命令だ。もうこれからは――」
ともだちにシェアしよう!