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44-2.花の数だけ愛してる(アキ受けver.)

「僕が…勝さんを受け入れたい」  何をしても適わない東郷に追いつこうとするのではなく、今夜は思い切り甘えてみたい。東郷の好きなようにされてみたい。  アキは手のひらに受けたローションを、東郷のペニスに塗りつけた。 「じゃあ、優しくしてやるからな」  アキの額にキスをして、東郷は後ろからアキを横向きに抱いた。 「慣れないうちは、正常位はつらいかもしれないな」  アキの尻の間にローションでぬめった指を入れ、アヌスをそっと押す。アナルオナニーの経験があるアキだから指が入っても平気だが、これからもっと太さのあるペニスが入る。無意識にアキの体が強張る。 「緊張しなくても大丈夫だ」  充分に慣らした後、アキを抱えた左手は乳首に優しく触れ、右手はあやすように太腿を撫でる。うなじに唇が押しつけられる。それがとても心地よい。全身で、東郷が愛してくれる。 「挿れるぞ」  アヌスに亀頭が当たる。無理やり広げられ、指とは違う圧迫感がアキを襲う。初めて東郷を受け入れるその蕾は、亀頭の部分まで飲みこんだ。 「くっ…いたっ」 「ゆっくり挿れるからな」  東郷がアキの髪を撫で、うなじにキスをする。右手でペニスを優しく愛撫する。それが嬉しいから、アキはどんどん甘えてしまう。 「やっ…、キツい…!」 「悪かった、アキ。大丈夫か?」  肩に耳にキスをして、後ろから東郷がアキの顔を心配そうに覗く。その優しさに触れるたび、アキは体中がぞくぞく震えそうな感覚がした。  東郷がすっぽりと中に入り、しばらく動かない。そのうち二人は指を絡めあった。こうしているだけで満たされそうだ。安心感と充足感でいっぱいになる、ポリネシアン・セックスのようで。  次第に圧迫感にも慣れ、東郷が少し腰を引いた。 「あんっ、いたいっ」  アキの甘い声に、東郷が中でビクンと反応したのがわかる。 「大丈夫か? そっと動くからな」  さっきまでの少し意地悪な東郷とは、まるっきり違う。アキが反応するたびに指を強く握り、うなじや頬にキスをしてくれる。そんな優しさだけが嬉しいのではない。東郷が、自分しか見ていない。少しの反応にも敏感で気遣ってくれるほど、アキは東郷を独り占めしている。それが心地よかった。  ゆっくり、東郷が腰を押す。ローションの助けもあって、痛みは徐々に薄れていった。それを察したのだろうか。東郷の腰の動きが、小刻みになってきた。アキが感じる所を突いてくる。 「あっ、そこ…、やっ…! 勝さん…、もっとぉ…」  だんだん我を忘れて乱れていくアキの様子に我慢できなくなり、東郷は正常位に形を変えた。 「ちょっと体勢がキツいが、我慢してくれ。お前の顔が見たい」  荒い息で言う東郷の余裕の無さに、アキは愛おしさを感じる。僕だけを見て、僕だけに感じて、僕だけに狂って―― 「僕も…勝さんだけを見ていたい」  東郷の首に腕を回し、熱を帯びた目で東郷を見上げる。東郷が腰を動かし始めた。 「あっ…!」  きしむベッド、シーツの上に東郷の汗が落ちる。目の前には東郷の顔。目元が赤く、瞳が潤んでいる。東郷にこんな顔をさせているのは自分だ。そんな優越感で、アキは羞恥心など吹き飛んで、じっと東郷の顔を見つめていた。 「あぁっ、もっと突いて…、もっと、勝さんが欲しい…!」  貪欲なまでに東郷を欲しがるアキには、先ほどまでの恥じらいは無くなっている。自分だけを見てもらえるなら、めちゃくちゃに犯されてもいい。 「愛してる…アキ」  そう言って、東郷はアキにキスをする。喘ぎ声は、東郷の口の中に消えていく。もう、アキには何も考える余裕が無い。何度も“勝さん”“愛してる”を繰り返す。東郷の腰の動きも増し、アキのペニスを強く扱く。 「アキ…中でイクぞ…! くっ…」  何度か腰を打ちつけ、東郷はアキの中で果てた。自分の中に、愛しい東郷の体液がある、そう考えただけでアキの下半身はうずく。東郷の手で大きく硬く育ったペニスは、もう限界が来そうだ。 「あっ…! 勝さん…僕もイクッ…!」  大きく背をのけぞらせ、アキも絶頂を迎えた。最後の一滴が出たのを見届けた東郷が、再びきれいに舐め取ってくれた。 「アキ…」  東郷が少し鼻にかかった声で、アキの上に覆いかぶさる。射精の後の気だるさが、東郷を無力な子供のようにさせる。今度は逆に、そんな東郷に甘えてほしくて、アキは東郷を抱きしめて髪を撫でた。東郷がアキの胸に頬ずりをする。それがくすぐったくてアキは身をよじって笑い、逃げようとした。 「逃げるな」  アキの両手首が握られ、シーツに押しつけられた。また、首筋や胸元にキスマークを増やす。白い肌を染めていく、いくつもの小さな赤い花。束にしてプレゼントすることはできないけれど、花の数だけ、愛してる。 「そんなにつけて、俺のモノって印ですか?」  執拗にキスマークをつける意味を、アキが問う。 「それもある」 「それ“も”?」  東郷は、真上からアキを見下ろした。真剣な眼差し。それは、仕事のときのものに似ている。 「アキ、これは命令だ。もうこれからは――

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