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12.新たな変身で魅せる万華鏡

 円形の部屋にライトが当たる。黒いガウンをまとい、黒い革のブーツを履いたアキは、脚を組んでスツールに座っている。そのスツールによりかかるように床に座るのは、ワイシャツ一枚の青年。長身で痩せぎすの、青白く茶髪の青年――カズハだ。白皙の美少年がそのまま成長したようなカズハは、第一印象が“ホストっぽい”と言われるほどの美形だ。  ゆっくりと部屋が回転する。カズハはアキの太腿辺りを指でたどる。物欲しそうにアキを見上げ、潤んだ瞳を向ける。アキはそんなカズハの頬を撫で、髪に指を梳き入れるとわしづかみにし、強引に引き寄せた。カズハが膝立ちになる。アキが引き寄せるタイミングと、カズハが膝立ちになるタイミングを合わせたため、周囲には髪を引っ張って無理やり立たせたふうに見える。カズハの苦痛にゆがんだ表情もあいまって。 「卑しい豚、僕が可愛がってあげるよ」  顔を近づけてささやき、アキはカズハの頬を舐めた。そのまま唇を重ねる。ねっとりと互いの口内を味わう口づけの合間に、アキはカズハのワイシャツを、肩からずらした。ボタン二つでかろうじて止まっているシャツはウエスト部分までするりと落ちる。あらわになったカズハの乳首を、アキが舐める。 「あっ…あん…」  カズハの色っぽい声が、個室のスピーカーに響く。アキは顔を離した。 「や…いや…もっと」  カズハが懇願する。アキが立ち上がり、スツールに革ブーツの足を片方乗せる。 「じゃあ、今度はお前が舐めろよ。僕が欲しいんだろ?」  小悪魔っぽく客を誘うアキが、今夜は豚を調教するご主人様だ。また見せる新たな姿に、万華鏡の向こうは欲望に燃えた目を輝かせる。  カズハはスツールに手を置き、革のブーツを舐めた。 「次はここだよ」  アキはガウンを脱ぎ捨てる。全裸に革のブーツ。そんなそそられる姿で、普段は見せないサディスティックな表情。万華鏡は新たな変身を見せたアキを映し出す。  カズハはアキの竿にしゃぶりついた。 「あっ…は…、上手にできたら…っ、ご褒美をやるよ」  硬くなり始めたが、半勃ちぐらいまでしかならない。それでもアキは、充分に感じているというふうに腰を振り、カズハの頭を強く引き寄せる。大きくならないのは、好都合だ。薄い茂みにカズハの鼻が埋まるほど引き寄せても、カズハは苦しくない。鏡に映るそのプレイは、まるでイラマチオだ。 「お利口さんだね、僕の豚は」  髪を撫でた後、アキはカズハを立たせた。ポールを背にして後ろ手に、手錠をかける。顔を赤らめ、カズハの表情は喜びに満ちていた。腰の部分で止まっていたシャツが床に落ち、大きくそそり勃った部分が天井を向いている。 「ほーら、ここをもっと触ってほしかったんだろ」  アキは長い羽根ぼうきで、カズハの乳首を撫でる。  尖った乳首は敏感になり、羽根の軽い感触にも反応してしまう。 「ああん、もっと…」  羽根は乳首の先端を、周囲を、執拗に撫でる。ポールに貼りつけにされたカズハの淫靡な姿は、万華鏡の中心に咲いた花。くるくる回る羽根と、アキの真珠の肌が万華鏡を彩る。 「いい格好だよ、豚」  アキはカズハの後ろに回り、首筋に吸いついた。カズハの肩が大きく震える。 「あっ、は…」  後ろからアキの手が伸びてきた。そそり勃つカズハを扱く。強く扱いてカズハの息が荒くなると、緩く扱いて焦らす。そのたびにカズハは腰を振り、泣き声のような嬌声を上げる。 「んん…もっと…」  愉快そうに喉の奥で笑い声を立てながら、アキが意地悪な目つきで、羽根ぼうきでカズハの顎を撫でる。 「いい声で鳴く豚だね。ほかの人にも鳴かせてもらおうか」  部屋の回転が止まった。カズハをポールにくくりつけたまま、床にひざまずかせる。アキはスツールに座ると、受話器を上げてボタンを押した。 「ねえ、あなたもこの子をいっしょにいじめてよ」  受話器をカズハに当てると、電話の向こうから、荒い息とともに声が聞こえてきた。  《いい格好だな。アキに触ってほしい所を言えよ》 「あ…アキ…俺のチンコ…触って」  恥ずかしそうに体をくねらすカズハを見て、客はさらに言葉攻めをしてくる。  《そんな頼み方じゃ、アキは触ってくれないぞ? もっと泣いてみせろよ》  天使がどんどん淫らになっていく様はそそられる。万華鏡の世界をかき回してみたい、客はそんな欲望にかられる。 「お願い…触って…何でもするから…。でないと俺…おかしくな…る」  アキは羽根ぼうきでカズハを撫でる。潤んだ瞳は万華鏡の中で揺れる。羽根ぼうきでしか与えられない愛撫に、天使の理性は奪われていく。 「もっと、おかしくなればいいよ、僕の愛しい豚」  アキがカズハと唇を重ねた。 「はあっ…、んっ…」  二人のあえぎ声が混じる。互いに握り合い、二本まとめて擦り合う。  快感に酔いしれるはずのアキの表情が変わった。どんなに擦っても勃起せず、アキは焦り始めた。それを察し、唇が触れ合う距離でカズハがささやく。 「イカなくても大丈夫だよ。俺がイクから」  カズハの背中がのけぞる。勃起しないアキをカバーするために、カズハはオーバーなくらいのリアクションをする。 「ああーっ! も、もう…イッちゃう…! ああっ」  飛び散る精液は、二人の肌を白く彩る。真珠の肌に絡まる真珠の雫。  アキは最後まで勃起しなかったが、客の反応はよかった。カズハの演技に助けられ、今日のショーは成功した。

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