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16.二度の絶頂
どす黒くも美しい万華鏡は、回転を続ける。アキが持っている羽根ぼうきから東郷の鈴口へ、トロリと一筋、細い糸がつながっている。羽根ぼうきを汚した罰として、アキはレザーパンツを膝下までずらすと、まだ柔らかいままの袋を強く握った。
「あっ、はあっ、もっと…!」
主の意に反して、犬は裏返った声を出して痛いお仕置きを喜んでいる。
「そう? そんなに痛いのが好みなら、ここもどうかな」
アキの中指が、引き締まった尻の間に入る。
「んっ…あはっ…」
暴れる指は中をかき回し、東郷を鳴かせる。袋は硬く張りつめ、アキの指だけでもイッてしまいそうなほど、先端からは蜜がこぼれる。
舞台の回転が止まった。オプションタイムだ。アキは東郷の腕の拘束をほどいた。アキが床に脚を投げ出して座ると、後ろから東郷がひざまずき、アキの耳に受話器を当てた。
「ねえ、僕とテレフォンセックスしてよ。この犬だけじゃ物足りないから」
今度は東郷が後ろからアキの胸をまさぐる。うなじに唇を這わせ、耳たぶにキスを繰り返す。
《じゃあそのパンツを脱いで、オナニーして見せて》
東郷がサスペンダーに指を引っかけ、肩から外す。ジッパーを下ろし、ショートパンツを脱がし、アキを革ブーツだけの姿にした。
細い指が、まだ柔らかい茎をとらえる。ゆっくり扱き始めると、アキの表情が変わった。
「はあ…、んっ…。あなたも擦ってる? 僕みたいに」
《ああ。アキのいやらしい姿、最高だよ》
「嬉しい…! もっと僕を見て。エッチなこと、いっぱい言って…あっ!」
東郷が後ろからアキの先端を撫でる。乱暴さはなく、遠慮がちでもなく、愛しいものに触れるような。アキの手に一回り大きな手を重ね、アキとともに擦る。
《その顔、いいね…。ほら、尻もよく見せろよ》
アキは膝を立て股を開き、尻を前に突き出す。
「んっ…」
東郷の手が下に伸びる。赤い門がよく見えるように、指でしわを押し広げた。周囲を撫で回す。指は螺旋を描き、真っ暗なブラックホールへと落ちていく。
「うあっ…!」
アキは背中をのけぞらせた。東郷の唇が、上から下りてきた。少し厚みのある唇は、アキの薄い唇を包みこみ、長い舌はアキの口内を優しく撫でる。思わず自分の舌を絡めたアキは戸惑った。東郷のキスで、体が反応している。中心が硬さを持って、上を向いている。萎えることのない硬い茎は、恥ずかしいほど蜜をこぼし、指で中を刺激されるたびビクビク動く。
東郷のテクニックは相当のものだ。カズハより、それどころか奏よりも感じる。
蠢く指が門から這い出ると、そそり勃ったアキをしごく。
東郷は唇を離した。アキの声を客に聞かせるために。だが、アキの脳内は快楽を求めることに夢中で、首を伸ばして一度離れた東郷の唇を奪った。
優しく絡んだ指は次第に速さを増し、アキが気持ちを制御できないほど、強く擦られる。
「うっ…」
アキの喉奥からもれる声を察知して、東郷は顔を離した。
「ああっ、出るっ、もう…イク…っ」
勢いよく精液が飛び出し、東郷の手を濡らした。何日ぶりだろうか、仕事での射精ではあるが、爽快感が全身を走り抜ける。これも東郷のテクニックの賜物だろう。
アキは別の窓を開けた。リップのオプション客だ。アキは四つん這いになり、開いた鏡の向こうに顔を伸ばす。濡れた唇を少し開け、アキはとろけるような目で顔を近づけた。
「ねえ、キスの間、目を開けてていい? あなたの顔が見たいから」
客は喜んで舌を差し入れる。黒く潤んだ瞳が、客の顔をじっと見つめる。感じる顔を僕に見せて、僕もあなたにいやらしい顔を見せるから。
「あっ…ふ…」
東郷が、四つん這いになったアキの尻を撫でる。ローションを塗った指が、アキの菊門を直撃する。
感じるところを突かれ、興奮したアキはさらに深く口づける。舌を吸い、歯を舌でなぞる。混じる唾液は口の端からこぼれる。
「はあっ…」
アキは腰を振り始めた。東郷の指技によって、射精したばかりなのに再び力強く勃ち上がる。こんなにも体が燃え上がるのは、奏との共演以来だ。オプションのキスにも熱が入る。
客は自分で慰めながら、アキのキスを受けている。
「僕の顔を見て、イッて」
唇を重ねたまま、ささやいた。客はティッシュを何枚も取り、亀頭にかぶせた。
余韻にひたる客に、アキは何度も唇を合わせるだけのキスをする。
「キス上手だね。とても気持ちよかった。ありがと」
舞台が再び回り始める。仰向けに寝そべったアキに、東郷がフェラチオをする。
「あっ…、ふっ」
強く吸い上げるバキューム・フェラ。くわえた部分がよく見えるよう、東郷は手を使わない。その東郷の手は、客から見えやすい角度で自慰をしている。その太く硬くそそり勃った東郷を、アキの潤んだ目が見つめる。
「あ、イク…!」
東郷はアキから離れない。このままでは、東郷の口の中に出してしまう。アキは少し焦って東郷から離れようと腰を引く。だが東郷はそんなことはお構いなしに、アキを吸い続ける。
「ああっ、ダメ…!」
アキはとうとう、口内に吐き出してしまった。
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