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第2話 期待はずれ

次の日の12/8の天気は雪だった。 今日に限って僕の身体は重怠いし熱っぽかった。 「母さん、……僕風邪引いたみたいなんだけど」 リビングで朝食を食べていた母さんに僕は身体の不調を訴えた。 その僕の声はカスカスだった。 「え、大丈夫冬馬?!……困ったわね。今日はどうしても外せない仕事があるのに」 子供よりも仕事が優先なのは分かってることだから、僕は聞き分けの良い息子を演じることにした。 「ごめんなさい。僕は大丈夫だから、母さんは仕事に行って?……部屋で寝てるよ」 「本当に大丈夫なの、冬馬」 「学校に休むって連絡してくれないかな」 母さんは僕の額に手を当てた。 「だいぶ熱が高いじゃない。母さんの代理で仕事変わってもらうから、お母さんと病院に行きましょう」 「寝てれば大丈夫だよ。仕事、頑張って」 僕は嘘を付いた。 本当は全然大丈夫なんかじゃない。 ここで母さんが強引にでも病院に行こうって言ってくれるのを僕は期待してた。 だけどそれは叶わないのも分かってる。 「冬馬が家の仕事を理解してくれて、助かるわ。今日は早めに帰ってくるから、安静に寝てるのよ」 やっぱり僕よりも仕事なんだ。 父さんと母さんは二人で事務所に出勤していった。 僕は馬鹿だ。 一体何を期待してたんだろう。 期待したっ無駄なのに。 僕はリビングの窓からも見える椿を見た。 椿に雪が積もっていてキラキラして綺麗だったから、僕は怠い身体も忘れて庭に出てから、その風景をスマホで写真を撮った。 「何してるんだ冬馬。熱が高いんだから、こんな寒い日い雪の日に外になんか出るなって!!」

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