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第5話 あの椿と会話が成立する喜び
僕はあの椿と一緒に会話しているのが嬉しくて、安静にしているのが嫌だった。
昼食は椿がお粥を作ってくれた。
植物が何故お粥なんて作れるのか分からなかったけど、分からないほうが楽しいかも知れないと思たから聞かなかった。
「冬馬、風邪薬。それ飲んだら寝てくれよ」
「なんで?椿が一緒にいるなら沢山話したい。いつも僕の一方通行で話しかけてるんだもん」
「数日は一緒にいられるから安心して。……といっても今回はイレギュラーだからどうなるは分からないけど」
「でも椿が消えたりしたら僕、嫌だな」
「冬馬……」
すると椿は僕の手を握って笑った。
「……手、離さないから少し眠ろう?熱が上がる」
子供扱いだけど、椿なら良かったと思えた。
だから僕は頷いた。
「……分かったよ」
「元気になったらもっと話そうな」
はにかむ椿の笑顔は綺麗だった。
女の子なら……こんな笑顔されたら『自分のこと好きなのかも』って勘違いするんだろうな。
僕ですら、心臓がキュッと鳴いたから間違いだろうな。
普段神頼みもしない僕が、久しぶりにしたお願いだった。
人として数日間は僕のそばにいてほしい、そう思って眠った。
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