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第2話

 出会いは高校に入ってすぐだった。入学式が終わり、クラスでの自己紹介の時。  いつものように僕は緊張していた。人前でしゃべるのは苦手なんだ。 「は、はじめましゅて……」  最悪、早速噛んだ。クスクスと声が聞こえるし、恥ずかしくて死にそうだ。 「は、はじめまして! 内村瑠衣です!! よ、宜しくお願いしましゅ!」  僕の自己紹介はそれだけ。緊張で大きな声になったと思うし、また噛んじゃったけど、本当にそれだけだよ? それなのにまだ名前も知らなかった彼が急にツッコんできたんだ。 「ルイくん、噛み噛みじゃん!」  彼のその一言でクラス中が大笑いだった。  いやいやちょっと、急に馴れ馴れしくない? 人のこと馬鹿にして楽しい? 僕の顔見てよ、真っ赤だよ? 僕はそう思っていたんだけど、彼は違うこと考えてたみたい。こんなことを言い出した。 「君、声が大きくてすごくいいよ。俺とコンビをくんでくれ」  あまりに突然で僕はそれが何を意味しているかわからなかった。 「高校に入ったら漫才をしたいと思っていたんだ。君に一目惚れした。だから俺の相方になってほしいんだ」  それはとても勝手だし、急だったからかわれてると思ったんだ。でもそんな僕の気持ちとは裏腹に口にした答えはこうだった。 「う、うん。いいよ」 『さっそく了承するんかーい!』  またまたクラス中が大笑いしてた。シンヤがニヤリと笑って、僕もつられて笑っていたんだ。  僕のセリフにシンヤがツッコんでくれる。それが僕らのはじまりだった。そこから二年半、ずーっとシンヤの隣にいたんだ。

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