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第3話
「ニャーン」
僕の声は届かない。
どんなに貴方に恋しても届かない。
ならば、生涯貴方のそばで貴方に必要とされているならば、生涯お側にいさせて下さい。
僕はただの猫だから・・・
いつか僕の願いが叶って人間になれたら、貴方は僕を必要としてくれますか?
じーっとギイを見上げながら、そんな風に思いながら見つめていた。
「タクミ・・・」
柔らかく呼ぶ声が、僕を切なくて、どうしようもない気持ちにさせる。
「ニャーン」
ギイ・・・大好きだよ・・・
「何だか告白でも聞いてるみたいな気分だな・・・・」と言ってクスリと笑うギイ。
僕は、本当に聞こえたのかと思った。
ギイの膝の上から伸び上がり、ギイの唇をペロリと舐めた。
「ニャーン」とひと鳴きする。
ギイ・・・・
「タクミ」と言ってチュッと僕の頭にキスをする。
猫として可愛がられて満足しなくちゃいけないのに・・・
僕は満足なんてできないよ・・・
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