6 / 10
第6話
ふと夜中に目が覚めた。
「タクミ・・・・」
呼んでも返事がない。
いつもは、俺のそばから離れないのに、いつの頃からだろうか・・・
満月の夜は必ずと言っていいほど、俺のベッドからいなくなる。
どこに行ってるんだ?
俺はベッドから出て、ペントハウスの屋上にある東屋に向かった。
タクミの好きな場所だから・・・
もしかすると、そこにいるんじゃないかと思って見に行った。
屋上には温室があり東屋があった。
えっ・・・人影?
俺や使用人以外は、上がっては来れないはず・・・ならば、誰だ?
俺は用心して東屋のベンチに座る影に近ずいた。
パキンーーーーーー
何かを踏んだ音が響く。
その音に敏感に反応したベンチにすわる人影はこちらを振り返った瞬間、息を呑んだ・・・。
漆黒の黒髪に黒曜石のように輝く瞳、手足はシュッと伸び白磁のように白い肌・・・。
それに真っ黒な耳とシッポ・・・
首にはタクミと同じ首輪がついていた。
「タクミ?」
声に振り返ったタクミは俺を見た瞬間、パッとベンチを降りて走って逃げようとした。
ともだちにシェアしよう!