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第8話
俺が近づくとビクッとして暗がりに逃げてしまった。
あれはタクミか?
とても綺麗な漆黒の黒髪に黒曜石のように輝く瞳、手足はシュッと伸び白磁のように白い肌・・・どれも俺好みの姿だった。
それに真っ黒な耳とシッポ・・・可愛い・・・。
この腕の中に抱きしめたくなる。
それに、タクミと同じ首輪がついていた。
色んなキーワードから、俺は逃げたのはタクミだと確信した。
だから優しく声をかける。
闇から出て来て欲しくて・・・
「タクミ・・・でておいで・・・」
優しく呼びかける。
少し動いたのか「チリン・・・」っと首輪についた鈴が鳴いた。
「タクミ・・・お願いだからでてきてよ・・・」
それは俺の本心・・・。
また、「チリン・・・」と鈴が鳴る。
そして暗闇からタクミが姿を現した。
黒曜石の瞳からポロポロと涙がこぼれ落ちて、不安げに俺を見つめていた。
駆け寄って抱きしめたい衝動を必死にこらえた。
タクミが逃げ出さないように・・・
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