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キングオブTHEチンコを探せ
「キングオブTHEチンコって言われてもなー? ユウジさん、どうするつもり??」
「それを調べるのがお世話係さんの仕事でしょ?」
また、それ??
はー、調べようがないじゃん…………。
こんな依頼、受けんなよ。
そう。
強姦するターゲットがわからないというトンでもない依頼なのに、その場でユウジは引き受けてしまったのだ。
信じられない。
特定できるのはチンコだけ。
真珠が埋められてるとか、規格外の並外れたデカさとか、はたまた刺青があるとかの一見してわかるモノではないらしい。
弾力、固さ、色、形、大きさなど、依頼人の理想とするチンコの要素をすべて備えたキングオブTHEチンコ。
って、どんなチンコだよ?
逆にメチャクチャ、興味を掻き立てられるっつーの。
依頼人は1時間ちかく、そのキングオブTHEチンコについて語った。
けれども、ちっとも俺には理解できない。
「こんな感じ?」
話の内容をメモしていたとばかり思っていたユウジは、やたらとリアルな似顔絵……チンコのだけど……を描きあげていた。
「わー、凄いっ!! さすがプロは違う! これです!これ!」
依頼人は目をキラキラ輝かせた。
って、おい?
「このチンコが探しているチンコです!」
ん?
これって?
ただのどこにでもあるチンコじゃね?
わからん。
俺には、違いがわからない…………。
■ □ ■
「で、そんなチンコを依頼人がどうやって見初めたの? なぜ、その理想のチンコをもつ相手を強姦しないといけないの? 全くもって、謎なんですけど?」
「それを調べるのもお世話係でしょ?」
「んな、アホなっ!」
思わず、被せ気味で返答する。
理想のチンコについて熱弁をふるっていた依頼人だったが、肝心の事情になると口をつぐんで黙秘を貫いた。
深まる謎。
本人が語らないのに調べたところでわかるはずがない。
そんな依頼を引き受けるなっつーの。
チンコ、チンコ、チンコ。
チンコが、しかもエレクトしたのを見ることができる場所ってどこだ?
で、見たところで俺にはわかんねーけど。
思考が堂々巡り。
車に戻るなり頭を抱えて座席に倒れこんだ俺の姿をみて同情したのか、ユウジが優しい声で言った。
「ひとりひとり、調べるしかないんじゃない?」
「は?」
「自ら裸になる場所があるでしょ?」
「え?」
気づけば、車はスーパー銭湯の前に停まっていた。
ここ?
「ここのサウナ、そういう場所だから」
「そういう場所って、どういう場所よ?」
「だ、か、ら、社交の場所。そういう意味の」
どひゃー、また、ですか?
俺がおとり?
「頑張って、キングオブTHEチンコを探してきて?」
ユウジは、似顔絵(チンコの絵)を小さく折り畳むと俺の胸ポケットにしのばせた。
俺に探せるのか?
てゆーか、依頼人がここにきた方がよくない?
数々の疑問を心の中に飲み込んだまま、俺は建物の中に足を踏み入れた。
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