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結末は?

「タローさん、そこをどいて」 タローを押し退け、ベッドに腰を掛けているユウジの前に立つ。 「ちゃんとできる? 童貞くん」 ユウジが目を細めて揶揄する。 うるさい。 うるさい。 一番不安を感じてるのは、この俺だから。 スーハースーハーと深呼吸をし、肩を回して緊張に固まる体をほぐす。 落ち着け、落ち着け。 「ユウジさんをメロメロにするから。思いっきり感じさせて、声もでちゃうようにする」 自分でハードルをあげる、俺……。 で、どうやればいいんだ? 尻孔をほぐすんだっけ? いきなり指を突っ込んだら、痛いよな。 何か潤滑剤になるものは…… 「あんた、本気でこの男に突っ込むつもり? 童貞には難しいんじゃない?」 店長が思いっきり不安な表情で俺を見つめる。 店長だけじゃない、ここにいるみんなが『やめておけ、お前には無理』って思っているのが痛いほど伝わってくる。 その中でユウジだけが、ニヤニヤと余裕の表情を崩さない。 「童貞でも、明らかにネコでも、気持ちがあればタチができるんだから!! みんな黙ってて!」 「気持ちだけじゃ乗り越えられないことだってあるのよ? そのタローさんだっけ? 彼に代わってもらった方がよくない?」 ブチっと音がする。 俺の堪忍袋の緒が切れる音。 「うるさい、うるさい!」 驚愕に彩られた店長の顔を睨み付ける。 「ちょっと、黙っててくれます? 誰がなんと言おうと俺がやるって言ってるでしょ? それにセックスは1人でやるんじゃない。2人でやるんだから。俺とユウジさんとでやる神聖な儀式……みんな邪魔しないで!」 視界がボヤける。 「だいたいさ、依頼人のあんたも、店長もおかしいよ。変だよ。タチとかネコにこだわってさ。大事なのは誰とやるか?ってことでしょ? 店長もさ、こんなに自分のことを想ってくれる子がいるんだから大事にしなきゃ! そんな大人のオモチャなんかと比べるのって、あり得ないよっ! 人とモノを比べるなっ!!」 涙で声が震える。 視界の端に捉えたユウジのチンコはすっかり萎えている。 今度は、依頼人を睨み付ける。 「あんたもさ、こんな依頼をする前に店長に気持ちを伝えたの? 2人とも大事なことを忘れてない?」 凍りついたように皆が立ち尽くす中、依頼人が前に進み出た。 「みっちゃん、今は粗チンかもしれないけど、成人するまでにはもうちょっと成長すると思うし、テクを磨いて満足してもらえるタチになるから……ぼ、僕と付き合ってください」 店長の前に右手を差し出す。 「こんな私でいいの……本当は頼れるお兄さんじゃないし」 「今更だよ。だって、みっちゃんだから……どんなみっちゃんでもみっちゃんだったら、それだけで僕にはいいんだよ」 えーーーん 店長が雄叫びをあげながら号泣する。 そして、依頼人の右手をとる。 依頼人は、店長の背中に手を回して抱き締めた。 感動的ないい場面。 だけど、大男の店長と小柄な依頼人。 抱き締めているというより、抱き締められてる感、半端ない。 体格差は、どうしようもない。 まぁね。別にね、他人にどう見えるかは関係ないよね。 本人達さえよければ、それでいい。 「で、依頼はどうする? 続行する?」 「もう、いらない。依頼はキャンセルします」 ユウジの顔が優しい微笑みに変わる。 「じゃあ、お祝いにこの部屋は二人に提供するよ」 「ありがとうございます。あなた達に依頼して良かったです」 依頼人と店長の満面の笑顔。 終わりよければすべてよし。 本当に良かった。 俺の顔にも笑顔が浮かぶ。 帰りの車の中、運転席にタロー、助手席にはユウジ、そして俺は後部座席で満足感とともに景色を眺めていた。 「それにしても、お前に処女を奪われずにすんで良かった」 「俺だって、お前にいれずにすんで良かった」 ん? なんだって? 俺はガバリと体を起こし、前に乗り出した。 ユウジの顔を凝視する。 「え? ユウジさん、未経験なの??」 「当たり前だろ? 俺もタローもバリタチよ?」 「そうなの?!」 ということは、つまり二人はセックスをしたことがないってこと? 「今回はいろいろあったけど、一番の収穫はコクられたことかな」 「え? 店長に?」 「は? お前にだよ。 そんなにも俺に惚れてたなんてな?」 「はぁ? コクってないし! 大体さ、ユウジさんなんか、好みじゃないし!!」 何を言ってるんだ、この人は! 俺がこんな人を好きなはずがない! 「いやー、俺も熱烈な告白だと思ったぞ」 「はぁ? はぁ? はぁ?」 タローまで便乗する。 「だってさ、初めては本当に大好きな人って決めてたんでしょ? いやー、初めてを捧げてもいいってほど想われていたなんて」 「はぁ? 寝言は寝て言え! あれは、タローさんを阻止するために言っただけだから!!」 「気持ちがあれば出来るとも言ってたな」 「タローさんまで、そういうことを言う??」 「ね? タローも思うでしょ? まぁ、違うってことにしてあげてもいいけどね♪」 ムカつく! 絶対に絶対に違うから! ただ、二人に寝てほしくなかっただけだから! この人、こういう時、しつこいんだよな。 なおもニヤニヤとからかってくるユウジをシャットアウトするため、俺は寝たふりを決め込んだ。

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