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絶体絶命?
「甘い。なんて甘い唇。 それにこの抜けるような透明な肌に、少年期特有の青い果実のような体。何よりも、その天使のようなビジュアル。すべてが僕の理想だよ」
柳山は、俺の口腔を繰り返し狂ったように犯した。
うっとりとした目付きは、完全にどこか違う世界にイッチャッテる。
唇からあふれ出たやつの唾液で俺の顔はベタベタだ。
「てめー、離しやがれっ!! 気持ち悪いんだよ!」
唯一、自由になる口で罵倒する。
この俺が天使のはずねーだろっ!
早く、目を覚ませっつーの!
「そんな汚い言葉使いは君には似合わない。まずは、その口を黙らせよう」
柳山は、顔をしかめるとハンカチを丸めて俺の口に押し込んだ。
「んっっん! うっ!」
張り付いた布が気管を塞ぐ。
吐き気が込み上げ、涙で視界が滲む。
「その苦し気な表情も最高! どう? 薬が効いてきたかな? ゆっくりと犯してあげるからね 」
薬!?
げ、また、このパターン??
んだよ! 弁当に仕込んでやがったのかよ!!
吐き気を堪えながら、思いっきり柳山を睨みあげる。
てめー、くたばりやがれ!
「その目、ぞくぞくする。快楽でトロトロにしてあげるよ。まずは、乳首から確めようね?」
柳山は、目を細め、自分の唇をペロリと舐めた。
ひゃあ!!
氷のように冷たい手が脇腹に触れた。
体が跳ね、一瞬で肌が泡立つ。
「んんっ」
全身にたてた鳥肌を指先で一粒一粒消しながら柳山の手は進む。
ついに乳首にたどり着いた。
親指の腹で、乳首の先を触れるか触れないかのギリギリの境目を往復させる。
「あっ」
もどかしさに、思わず声が洩れた。
すると、柳山の目が三日月の形に歪んだ。
「綺麗なピンク……あぁ、僕の理想の色。感度もいいし最高。ほら、これはどう?」
「ん!」
柳山の舌がチロチロと乳首の先端を触れるか触れないかの距離でさっきの親指の動きを再現する。
うわぁ、何だ、これ……
くすぐったいだけだったのが、別のものにかわってくる。
乳首の先が熱を持ち、ドクドクと拍動を開始する。
だから、なんだよ、これ……
「ほら、熱くなってきたね。気持ちいいでしょ? じゃあ、おちんちんも確かめようか? もっと気持ちよくしてあげる」
俺に囁くと同時にズボンとパンツを一気に引きおろした。
立ち上がりかけた下半身がヒヤリと外気にさらされる。
絶体絶命。
俺は、ギュっと目を閉じ、息を止めた。
俺の貞操よ。サヨウナラ。
こんなことなら、あのとき……。
あのとき?
俺……本当は……
「げっ」
突然、蛙のひっくり返ったような声が響いた。
声の主は、もちろん、目の前の柳山。
「このチンコ……ごめん無理だわ。萎えた。このチンコ、ホント無理」
はい??? なんだって??
「はぁ、最低。もう、帰るわ」
柳山は、ガックリと肩を落とし、個室の鍵をあけた。
そのまま、トイレの外に出る。
はい???
助かったと言えば、そうだけど、このやりきれなさは何?
いや、犯されたかったわけじゃないけど……あんた、俺のチンコ見るまではめちゃくちゃ、盛り上がってたよね??
それが、チンコを見た途端、萎えたって……
なんつーか、微妙に傷付いたっつーか、トラウマになりそうっつーか。
俺は、ハンカチをペッと吐き出すと、ズボンを引き上げて柳山を追いかけた。
「てめーー! 俺のチンコの何が悪いんだよ!! チンコに謝れ!」
こんな一方的に否定されて、黙ってられねー!
「はぁ、顔も肌も好みだけど、そのチンコだけは無理」
「フンギャーー! 何、失礼なこといってるんだよ! このチンコのどこがダメなんだよ!」
繰り返すけど、別に、抱いて欲しいわけじゃない。
……けど、この侮辱。納得できねぇ!
「だから、そのチンコが無理」
「はぁ? そりゃ、ユウジさんやタローさんのチンコには敵わないかもしれないけど、これはこれで俺は気に入ってるんだから!……え??」
俺は言葉を失った。
柳山の目から一筋、涙が落ちる。
なんだ? 突然どうした?
「僕だって君なら大丈夫って思った。今度こそ、期間限定じゃない本物の愛だって思った。だけど、その剥けたチンコじゃだめなんだ。皮を被った子供のチンコじゃないとだめなんだ」
柳山の声が震えている。
「やっぱり、僕には期間限定の愛しか無理なんだ」
次から次と柳山の目から涙があふれでる。
「残念だったな。だが、気を落とすことはない」
「え?」
背後からの声に振り返ると、そこには微笑みを浮かべたタロー。
「あなた、何者?」
柳山が訝しげに眉をひそめる。
「俺は、強姦屋。お前を今から強姦する」
「え?」
「性癖っていうのは本人の意志でも、何回、刑務所に入っていても、専門家の更正プログラムを受けても無駄だ。このままじゃ、お前は死ぬまで子供を犯し、不幸な犠牲者が増え続ける」
柳山は涙に濡れた目でキッとタローを睨み付けた。
「僕の愛は期間限定なだけで……犠牲者だなんて勝手に決めつけて欲しくない」
「違う、愛じゃない。それは肉欲にまみれた犯罪だ。俺が本当の快楽を教えてやる。剥けたペニスに体の奥が疼くように、お前の体を変えてやる。これからは、剥けてない子供のペニスなんかに反応しなくなる」
タローが唇の端で笑うと濃厚な雄のフェロモンが漂いはじめた。なんだよ? 俺までクラクラするじゃねーか!
もちろん、柳山はすでにノックアウト状態。
「アーーーッ!」
柳山の桃色の絶叫が公園に響き渡った。
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