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刑事と元刑事の正義?

「気持ち良すぎて死んじゃうっ!! そこ、グリグリしないでぇっ!!」 何度目かの絶頂に震えながら柳山は叫んだ。 タローは、腰の動きを止めるどころか、ますます激しく穿つ。 「まだまだ。もっと高みに引き上げてやる」 「アーーーッ」 柳山のペニスからは、さっきから透明な液がタラタラと垂れ流されている。 この液は何? 明らかに精子じゃない。 快楽で何かが壊れてしまったのだろうか? てか、薬を仕込んだ弁当、間違えて自分で食べたんじゃない? 俺、なんの変化もないし。 「これがセックスだ。ここまでの快楽を感じるには、ちゃんとできあがった体じゃないと実現出来ない。成長途中の子供の体では無理だ。それに、互いの気持ちがないと」 タローが柳山の髪を優しく撫でる。 まるで、いとおしい恋人に対する態度。 否、きっとそうだ。 タローは、毎回毎回、ターゲットを本気で愛する。 だから、快楽でメロメロに出来るのかもしれない。 「あぁ……うっ、はっ……い、今までの僕の愛は、こんなに凄くなかった……アーーーッ……また、いっちゃう!…………いくーーーっ!!」 タローの動きに、柳山がまた極めた。 何度目だろう……10回を越えたところから数えるのをやめた。 大丈夫だろうか? さすがに心配になってきた。 タローの腰の動きは、まだまだ続く。 「うぅ……ぼ、僕は、もう苦しまなくていいの? これからは、こうやって大人と関係を結ぶことができる?」 「そうだ、もう、苦しまなくていい。だけど、忘れてはならない。お前の罪はなくならないってことを。死ぬまで、傷付けてきた子供達に償い続けなくてはならない」 タローはくいっと腰を回すように動かすと、柳山から再び喘声が洩れた。 「あぁ……間違えていた。あの子達に申し訳ないことをしてしまった……あ、また……だめ、また、いっちゃう……アーーーッ ごめんなさい……あ、アーーーッ」 とうとう、柳山は白目をむいて倒れた。 メーターが振り切れてしまったのだろう。 「風呂にいれてくる」 タローは、柳山を軽々と横抱きにすると浴室に向かった。 公園からすぐそばのホテルに場所を移し、あれから数時間、行為は続けられている。 すっかり夜中。 かちゃりとドアの音がなった。 森だった。 「二人は風呂か?」 「うん」 「首尾は?」 「もう、柳山は大丈夫だと思う」 「そうか」 森は、表情を変えずに窓に進んだ。 夜の海にキラキラとビルの灯りが浮いている。 あの光の中に人がいて、自分と同じように生活をしているのだと思うと不思議な気がする。 いつの間にか、森の隣に並んで夜景を眺めていた。 「タローと俺は少年課の刑事でコンビだった。あるとき、担当していた少女が自殺した。俺達のすぐ目の前。伸ばした手は僅かに届かなかった」 森の語尾が震える。 俺は、窓の外を凝視した。 見てはいけない気がして、顔を動かすことができなかった。 森はその眼鏡の奥で、どんな表情を浮かべているのだろう? 「性犯罪だった。その子は、本当にごく普通のどこにでもいる小学生だった。友達想いで明るくて、体育と給食が大好きな……俺達は、誓った。この世の中から性犯罪をなくすと。もう、あの子みたいな子を作らない。そのために、寝る間を惜しんで犯罪者を逮捕しまくった。しかし、犯罪はなくならない。とうとう、タローは警察を辞めた。そして、強姦屋を始めた」 森とタローの悲しい物語。 二人が息ぴったりのコンビだったのは、この前の様子ですぐにわかった。 長い年月日を共に過ごしたからこそ培われた信頼。 ずっと続くはずだったコンビが解消されたのはそれぞれの正義を全うするため。 森の正義とタローの正義。 「俺は今も犯罪者を捕まえるために寝る間を惜しんでいる。だけど、時々、わからなくなる。あいつと俺、どちらが犯罪をなくすことになるんだろうって」 鼻の奥がツンとなる。 どちらの正義が正解かなんてわからない。 わかるはずがない。 けれども、森にはそのままでいて欲しい。 そう、自信満々で威圧的で、犯罪を心の底から憎む、根っからの刑事でいて欲しい。 「お前、来ていたのか」 ローブを引っ掻けただけのタロー。 柳山は意識は戻っているが、足腰が立たないようでタローにすがり付いている。 「柳山。お前が罪を犯せば、必ず俺が捕まえる。絶対に逃がさないからな。覚えておけよ」 キラリと眼鏡が光る。 怯えた柳山が、その場でひっくり返る。 うん、これでこそ森。 弱気は、あんたには似合わない。 ささやかながら、俺も犬のお世話係としてお手伝いさせてもらうぜ。 俺は心の中で、刑事と元刑事にエールを送った。

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