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みんなを不幸にする最低な依頼?

「依頼を引き受けるってことは、ちゃんと、あいつをあの女の目の前で強姦できるってことだよな。あいつらは、明後日にこの部屋に泊まる予定だから、そこで強姦しろ。僕も確認のためにあいつらに姿を見られないところで見学できるようにするんだぞ」 依頼人は、バンと紙をテーブルに叩きつけた。 そこには、腕を組んで歩いている男女の写真とホテルの住所、部屋番号が印刷されている。 なんだ、その命令口調。 しかも、無理難題。 さっきから、嫌な感じなんだけど? 強姦って言っても、うちのは単に襲うだけの暴力とは違うんだから! 調査に時間をかけて最高の状態で行うから、そんなの無理無理。 わかってるよね? ちゃんと断れよ! 俺はユウジに念を送る。 「わかりました」 わかりました、かよっ!! ホントにわかってる?? もう、黙ってられねぇー! 「ちょっと、あんた、自分が何を言ってるかわかってる?? 彼女の目の前で彼を犯すってことは、彼だけじゃなく彼女にも相当なトラウマをうえ付けることになるんだよ? 彼も彼女も一生恋愛できなくなるかもしれない。それでもいいの?」 この人、ホントにわかってるんだろうか? 依頼人は、唇を噛んで俯いた。 「大丈夫、この女は売女だからそんなことぐらいじゃ、プライドは傷ついても心は傷つかない。こいつは、二度と恋愛が出来ないほど傷つけばいい」 「どうして、そこまで……」 「リア充は、死ねばいい」 「はい?」 「こいつ……村壁とは、小中高と同じで、大学でやっと離れたのになぜか同じ会社。しかも、こいつは院卒で2年遅れて入ってきたのに、もう僕より大きいプロジェクトを任されている」 「はぁ、それは彼が優秀だからじゃ……」 「昔からそうだった。クラスの中心でスポットライトを浴びているのは村壁。僕は存在感ゼロの空気」 「いじめられてたの?」 「いじめられるまでもいかない、道端の石ころが僕。僕の名前すら、村壁は知らないはず」 「じゃあ、別にいいじゃん」 「勉強も出来てスポーツも出来て顔も性格もいいクラスの人気者。大人になってもそれは維持されたまま。このまま村壁にリア充の人生を歩ませたくない。会社で1番の美人の受付の女との結婚なんて、絶対に壊してやる」 「ひょっとして、彼女に惚れていたの?」 「あんな売女なんか好きになるはずない」 「それさ、逆恨みっていうんだよ? 悔しかったら努力すればいいじゃん。髪をきって小綺麗にすれば、あんただってマシになるんじゃない?」 「お前みたいなキラキラした美少年に僕の気持ちなんてわかるもんか! 僕のことはどうでもいいんだよ! 村壁を僕と同じ所まで引きずり落とせばそれでいいんだ! 金なら払う。きっちりと仕事しろよっ! 愛する女の前で金で雇われた男に犯されるあいつの顔をみたいんだ」 かなり、拗らせてる。 拗らせてるというより、病んでいる。 この依頼が望み通りの結果になったとして、その後、この人はどうするんだ? ますます、拗らせるんじゃなかろうか? みんなを不幸にする、この依頼人すら不幸にする依頼。 本当にこんな依頼を受けていいの? 俺は祈るような眼差しをユウジに向けた。

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