ペチャペチャと何かの音がする。 黒い大きなものが体の上に覆い被さっている。 ああ、ワンコか。 そういえば、大型なワンコを飼いたいってタローが言っていた。 結局、飼うことにしたんだ。 そのワンコが俺の体を舐めているんだと理解する。 夢うつつながらも、朝の気配を感じとる。 そろそろ、起きてご飯の用意をしなくちゃ。 タローは和食。ユウジは洋食。 二人が揉めるから交互に作っている 今日は、どっちの日だっけ？ 唇や頬を舐めていたワンコの舌が、頤、肋へと徐々に下がる。 ワンコくん？ 朝だって、起こしにきてくれたの？ もう、起きなきゃだめ？ 体がダルくて、もう少し寝てたいんだけど。 舌が胸の先に届く。 乳輪から乳首へとペロペロと器用に舐めあげる。 くすぐったい。 そんなに舐めないでよ。 そんなところ…… ワンコを押し退けようと伸ばした手に予想と違う感触。 モフモフというよりツンツン。 これって人間の髪の感触のような…… ……ワンコじゃない。 瞬時に覚醒する。 開けた目の前にいるのは、あの護衛の男。 全裸で俺の体の上にまたがっている。 シーツが肌に触れる感触が艶かしい。男の肌が触れるのも。 それで自分が真っ裸なのに気付いた。 「何してるんだよっ！ やめろっ！」 朝になったと思ったが、気を失ってから僅かばかりの時間しか経ってないようだ。 さっき自分が噴き上げた白濁液が完全に固まらずに腹についたまま。少しだけ肌が突っ張るのが気持ち悪い。 蛍光灯に照らされた部屋に現実に引き戻される。 ここは地下室。 そもそも、朝日は入らない。 「目覚めた？ 次は乳首だよ？ 気を失うなんて許さないよ」 ターゲット男は、パイプベッドの横に置かれたソファーに座っている。全裸だ。 俺の目を熱のこもった眼差しで見つめながら自身をしごきはじめた。 「ここからはこいつに手伝わせる。調査によると、君はいろんな男の欲望の対象になっていたようだから、開発し尽くされてると思っていたけど……」 腕が動くことに気付いた。薬が切れかけている。 護衛男の体を押し退けようと再び手を動かした。まだ思うように動かない。力の入らないその手を取られる。 「乳首を気持ちよくしてあげて？」 ソファーで息を乱すターゲット男の言葉に、護衛男は俺の乳首をゆっくりと口に含んだ。 粘膜がそこを包む感覚に鳥肌が立つ。ひとりでに背筋が浮いた。 護衛男は酷薄な微笑みを浮かべ、そこに前歯で思いっきりを噛みついた。 「痛っ！」 痛みが脳天を突き抜ける。 何をしやがるっ！！ 痛いって！！ 全く気持ちよくない！ 悶絶する俺を気遣うことなくギリギリとそこを噛み締めた。 生理的な涙が溢れる。 「ううっ」 口の中に引き入れた尖端を舌でしごきはじめた。 まるで甘い飴玉のようにジンジンするそこを舌で転がす。 そのたびに、ピリッとした痛みが走る。 ちくしょうっ！！絶対に切れている。 「その顔、最高……ああ、その顔だけで僕もいきそう」 ターゲット男はソファーから立ち上がり、しごく手を早めた。はっはっと息があがる。 くるっ！！ 目を閉じた瞬間、瞼に生暖かい感触がした。 俺の顔に精を放たれたのだ。 ドロリとしたものが額から頬へと伝い落ちる。 生臭い雄の臭いが鼻を刺激する。 「んっっ」 気をとられている俺の意識を自分に戻すようにか、護衛男の舌の動きが激しさを増した。 さっきの痛みはなくなっている。代わりにムクムクと何かが育ちはじめた。 痛みじゃない。別のもの。 それを快感というには、まだ早い。 形になっていない芽生えの状態。 だけど、確実に男の舌先で育てられている。 「君がまっさらな体のままで嬉しい。僕が教えてあげる。ここも処女でしょ？」 「うわっ」 ヌプリとターゲット男の指が後孔に差し入れられた。 圧迫感に眉根を寄せる。 何度も尿道を責められて精を吐き出したため、下半身はダルくペニスはズクズクと鈍い痛みを放っている。 もうやめて。そっとしといて。 ターゲット男の指が狭い粘膜を自由に動く。 やがて、浅いところ探りはじめた。 そして、例の場所を見つけると、そのしこりを弾いた。 「……！！」 悲鳴が声にならない。 鋭い刺激が光の速さで疲労した下半身に直撃する。 絞り尽くされて何も産み出せない精巣が、無理矢理に稼働させられる。 「あぁ、いい孔だ。ここも前の孔と同じで覚えがいい。慎ましいのに淫らに卑屈いてる。たっぷりと出させてあげる……って、もう出ないかな？」 後孔を穿つ手の速度があがる。 出ないって！！ 無理だからっ！！ 容赦なく、指は前立腺を弾く。 さっきの執拗な尿道の刺激と一緒。 見つけた場所を離さない。 痛い。 痛い。 痛い。 快楽が過ぎて痛みに変わる。 護衛男が乳首から口を離した。 のそりと立ち上がると、入り口の小机の上からトレイを持ってきた。 ターゲット男にトレイごと差し出した。 「交代するね？ こいつの指は太いから……普通の人のペニスと同じ太さだから、君にはちょっとキツイかもよ？」 ターゲット男と護衛男の位置が入れ替わる。 そして、言葉通り、太い護衛男の指が無理矢理にくびり入れられた。 「！！！！」 これ以上はない！と思うのに次から次とさらに上をいく感覚が上書きされる。 痛みなのか、快楽なのか。分類なんてどうでもいい。 名付けることを諦めた熱の渦が、うねりながら全身を……足先から髪の毛まで駆け巡る。 逃れたい。 望みは一つだけ。 解放されて、ここから逃れたい。 「助けて……ユウジ……助けてっ！！」 ターゲット男がトレイから取り出したものを俺の目の前にかざした。 太い布団針の様なもの。 「孔を作ってあげる。淫らでかわいい孔をこの腫れ上がっていやらしいところに」 そういって、さっきまで護衛男になぶられていた乳首にニードルを突き立てた。 「ギャアーーーーーーー」 獣のような咆哮。 絶望的な痛みの中、なぜか脳裏に浮かぶのはユウジの顔だけ。 ユウジ ユウジ ユウジ 助けて……