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犬?
金髪男こと、すっぽんのユウジに連れてこられたのは、山奥の一軒家。
といっても、山小屋のようなものでなく、別荘と表現するのがぴったりなお屋敷だった。
生まれて初めてみた暖炉にワクワクしているとユウジが話しかけてきた。
「早速、そこの犬のお世話お願いするね」
「え?」
そこって、どこ?
キョロキョロと犬を探していると、運転手の男が無言で床を指差した。
運転手の男は、キリリとした精悍な顔つきで黒髪短髪。
背が高く、服の上からもがっしりとした筋肉がついているのがわかる。
キビキビとした身のこなしから、自衛官か警察官の出身だろうと予想する。
俺は目を擦りつつ、男の指先を凝視した。
やっぱり、何もいない。
ひょっとして、俺にだけ見えない……のだろうか?
「本当にそこにいる? 俺には、みえないけど」
うひゃひゃとユウジが笑い声をあげた。
「やっぱり、君って楽しいね? 犬は地下室だよ。 そこのドアから行ってみて?」
羞恥に顔が火照る。
「だったら、最初っからそう言えよ」
小さな声でボソリと呟きながら、ドアを閉める。
これが、精一杯の反抗。
我ながら、肝っ玉が小さい。
「あいつ、おもしれー」
ドアの向こうから、ユウジの笑い声が響いた。
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