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はじめてのおもらし?
「こちらこそ、宜しく頼むよ。折角だから、そのコーヒーは全部のんでしまいなさい」
「はい」
俺は、慌ててコーヒーを飲み干した。
苦味が舌を刺激する。
常連さんは、俺が飲み干したのを見届けてから、席を立った。
慌てて、後を追いかける。
あれ? どこに行くの?
常連さんの足は、黒塗りのイカツイ高級車の前でとまった。
車の周りには、これまた最高にイカツイ顔の人々。
「「「お疲れ様です」」」
声をそろえて、イカツイ挨拶。
ひょ、ひょっとして……この人は。
「おう、店の方に車をまわせやっ」
さっきまでの紳士的な言葉遣いは、すっかり消えている。
これは、危険。
さっさと逃げるに限る。
危険を察知した俺は、断りの言葉を早口で捲し立てた。
「も、申し訳ありません。ひ、秘書は俺にはムリ…〇×△※うわぁぁあ!!」
口上の途中で強引に車に押し込められる。
「ぎゃー、助けてーーーーー!!!!!!」
俺も、さっきまでの気取ったカフェの店員モードはかなぐり捨てた。
駄目だ。
これ……本気でヤバいやつ。
「やめて!!!」
「もっと、啼け。可愛い顔が恐怖で歪むのを見るのは最高だ。店についたら、もっと啼かせてやるからな」
「おやじも、好きですな」
『常連さん』改め、『組長』がドスのきいた声で恐ろしい言葉を吐くと、助手席のヤクザが、ムフフと嫌らしい笑みで答えた。
その姿はまさに、悪代官と越後屋。
ひぇーーーー!
俺、貞操の危機?
こんな絶体絶命のピンチなのに、さらに絶望的な状況が俺を襲った。
ギュルギュルギュル
なんと、膀胱が暴れ始めた。
出物腫れ物ところ嫌わず。
突然襲ってきた耐えきれないほどの尿意に、思わず身をすくめた。
なんで、よりによってこんな時にっ!!!
猛烈にトイレに行きたい。
トイレ、トイレ。
でも、とてもじゃないがそんなことは言いだせない雰囲気。
空気を読めない俺でもしっかりとわかる。
きっと、勇気を出してお願いしたとしても、許してもらえないに決まっている。
トイレ、トイレ。
頭の中は、小便器一色。
早く、あそこに辿り着いて思う存分放尿したい……。
急に無言になった俺に、組長が気付いた。
「ほう? 利尿剤が効いてきたか?」
そう言いながら、尿意に震えるペニスと膀胱を一気にワシ掴んだ。
「何するねんっ! おっさん! 漏れるやろっっ!」
あまりもの衝撃に、理性がぶっ飛び、組長を怒鳴り付けてしまう。
しかも、関西弁。
そう、俺は関西出身。
『組長』改め、『おっさん』は瞠目した後、嬉しそうにニヤニヤした。
「お前、ますます気に入った。1回で壊すのは勿体ない。暫く、可愛がってやる」
はあ? 寝惚けたこと言うたらアカンで?
こっちは、それどころじゃないねん!
限界を越えた尿意に冷や汗が止まらず、全身がプルプルと震え始めた。
漏れる、漏れる。
「出せ、出せ」
膀胱を刺激する手が、ますます強まる。
やめろ、やめろ!
限界過ぎて、身動きも声すらでない。
俺は、ギリギリと唇を噛み締めて、全身の力を膀胱に集めた。
外尿道括約筋、お前が最後の砦だ。
全力でお前を応援する!
頼む、耐えてくれ。
「まだ、頑張るか? 見かけによらず、根性あるな。その睨みつける目がゾクゾクする……ますます、気に入ったぞ。これなら、どうだ?」
おっさんは、抱え込むように俺を抱き締めると、腰の隙間から手を差し入れてきた。
そのままずんずんと肌を進む。
ついに、奥の入口にたどり着いた。
やめろ、やめろ!!!
「慎ましい穴だ。ここを拓くとどうなる?」
おっさんは、俺の耳を甘噛みしながら囁いた。
ねちょねちょと水音が直接、鼓膜に響く。
気色悪いねん。
おっさん、離れろやっ!
抗議の言葉は、すべて外尿道括約筋を引き締める力に変える。
負けない。
俺は屈しない。
おっさんの指が後孔に差し込まれた。
「ギャーーーーーー」
む、無念……
俺の叫び声と同時に、ズボンが熱く濡れた。
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